【セントピータースバーグ(米フロリダ州)21日(日本時間22日)=四竈衛、千葉修宏、木崎英夫通信員】08年世界一を決めるワールドシリーズ(WS)が、22日に開幕する。初出場初制覇を目指すレイズ岩村明憲内野手(29)は、3年前に他界した母に祈りをささげて出陣する。

 岩村が05年に亡くなった母美千代さんに世界一をプレゼントする。この日、トロピカーナフィールドで前日練習を行い、フリー打撃で本塁打を連発。練習後、「世界一になる。そのためにオレはメジャーに行きたいんだと、母に話をしてこちらに来たんで」。天国の母へのWS優勝報告を誓った。

 岩村はプレーオフに入ってからここまで「まだ母親の力は借りない」と、写真に手を合わせるなど特別なことをして試合に臨んでこなかった。だが「このWSばかりは力を借りる可能性が高いですね」。3年前の母の命日(8月26日)。「プロとして目の前の試合を放棄できない」と横浜戦に出場し、2本塁打を放った。「亡くなった日に2本打てたのが母の力だと思う。それがこの7試合でも出ればいい」。愛する母の助けも借りて、世界一までたどり着く。

 岩村にとって「何かを感じてます」という試合だ。相手監督はかつてのヤクルト戦士、赤鬼マニエル。「自分のホームページにファンの方が『新旧ヤクルトのスラッガー対決だ』ということを書いてくれて。そのコメントを見てゾクッときましたね」。同じ中西太門下生の田口が相手なのも何かの因縁か。

 その田口からはリーグ優勝後、電話で「オレたちにとって最高の舞台。最高のシリーズにしよう」と言われた。1番として徹底マークが予想されるが「僕自身にマークがきつくなれば、他の人に甘くなる。一役買えてるんじゃないですか。望むところ。僕はあと楽しむだけです」。静かに闘志を燃やした。【千葉修宏】