<ワールドシリーズ:フィリーズ2-2レイズ=6回表終了後、降雨サスペンデッドゲーム>◇第5戦◇27日(日本時間28日)◇シチズンズバンクパーク

 バド・セリグ・コミッショナー(74)の裁定で史上初のサスペンデッドが決まった。審判団が決定権を持つ公式戦とは異なり、ワールドシリーズ(WS)の試合続行の可否はコミッショナーに権限がある。「これは私の裁定だ。フィリーズのコールド勝ちは考えなかった。WSの幕切れにふさわしくないし、許せるものではない」と説明した。

 コールドゲームで勝敗が決したことが過去1度もないように「9回まで戦う」ことがWSの不文律。シリーズ前のコミッショナー通達でも、「いかなるコンディションでも戦ってもらう」と両軍には伝えていた。仮にレイズが6回に同点に追いつけなくても、同コミッショナーは「試合が再開されるまで、24時間でも48時間でも中断するつもりだった」と明かし、9回成立にこだわった。

 試合後は自ら会見の場を設定し、「難しい決断だったが、そのためにコミッショナーがいるのだから」と話した。28日以降が天候不順でも開催地を変更する案を否定し、「(10月31日の)サンクスギビング(感謝祭)を祝うことになっても、ここに残るだろう」。セリグ氏の素早い決断には、異論を挟ませない「力」があった。