今季FA権を取得した広島小窪哲也内野手(30)が今日16日にも権利を行使せず広島残留を決断することが濃厚となった。同じく今年権利を得た赤松真人外野手(33)は残留を明言。代打と代走の切り札が来季もチームのために戦う決意を固めた。再建へ動き始めた緒方広島にとって、スペシャリストの流出阻止は大きな追い風となる。

 秋季練習後、初めて球団と話し合いの場を設けた小窪の表情は晴れやかだった。「ありがたい話をしてもらった。自分の中では決まっています。1日待って、また話し合いたい」と話した。家族と相談した上で、再び球団と交渉の席に座る今日にも広島残留を決断することになりそうだ。

 チームにとっては朗報だ。今季決定打を欠いたチームの中で、小窪の勝負強さは際立っていた。9月9日の中日戦では土壇場の9回2死二塁から中前へ同点二塁打。局面を打開する一打を放ってきた。劣勢をはねのけ、接戦から相手を突き放す。仕事人としてチームの勝利に貢献してきた。今季代打で50打数19安打。3割8分と昨季の3割8分9厘に続く高打率を残した。

 秋季練習には初日の14日から参加している。練習メニューの合間にかけ声をかけるなど、リーダー的存在。菊池や丸をはじめ、小窪を慕う後輩も少なくない。チーム内における存在感は緒方監督も認めるところ。「彼ほど勝負どころで強い気持ちを持って打席に立てる選手はいない。続けて結果を残したことは自信にしていい」。誰よりも小窪残留を願った。

 残留が決まれば、来月1日から始まる秋季キャンプにも参加する見込み。今季は代打が主戦場となり、先発出場は6試合にとどまった。代打の切り札のまま終わるつもりはない。レギュラー不在の三塁の定位置を狙いアピールするつもりでいる。足のスペシャリト赤松とともにFA権を行使せずの残留は、新たな戦いへの覚悟でもある。