「先発球児」を補強!! 阪神は14日、四国IL・高知を退団していた藤川球児投手(35)と契約合意したと発表した。2年総額3億円(推定)で、米大リーグに挑戦した12年以来、4年ぶりの古巣復帰。球団は先発要員として構想していることも分かった。金本知憲監督(47)が口説くなど、球団のラブコールに応えた格好だ。球団最多220セーブを誇る、かつての守護神が、イメチェンして甲子園に舞い戻る。

 「火の玉ストレート」が甲子園に帰ってくる。球団担当者のもとに連絡が入ったのは前日13日の夜。藤川が代理人を通じて「お世話になります」と入団の意思を伝えてきたという。

 来季は新たな「球児」を見られそうだ。あくまで来季の戦力編成が整い、力量を見てポジションを判断されるが、球団は先発要員と見込んで獲得。かつて不動の地位だった守護神には現在、韓国人最強クローザーの呉昇桓が君臨する。今季で契約を終え、去就は流動的だが球団首脳は「うちの抑えは、あくまでスンファン」と話すように、来季も2年連続セーブ王の剛腕に抑え役を任せるつもりだ。

 この日、藤川は球団を通じて「再びタイガースのユニホームに袖を通すことになりましたが、ただ戻ってきたとは思っていません。気持ちも体も新しくして阪神タイガースのため、タイガースファンの皆さんのために全身全霊をかけて戦いたい」とコメント。気分一新の挑戦になる。米国では13年6月に右肘手術を受けて地獄も見た。高知では先発志願し、好成績を残すなど高い適性ぶりも示した。

 1度は切れかけた縁が再びつながった。レンジャーズを戦力外になった5月下旬以降に阪神は獲得交渉に入ったが、断られていた。6月から故郷の高知でプレー。先発する姿を、日高プロスカウトを中心に視察してきた。力量を再評価し、高知退団後に再オファー。獲得を熱望した金本監督も電話で話し、2日には直接会って口説いた。03、05年はともに戦って優勝した戦友だ。それだけに、球団を通じて喜びを口にした。

 「決断してくれてホッとしています。球児とはこれまでも電話や直接会うなどして話をさせてもらっていたし、野球に対する熱い気持ちは伝わっていました。あのキレのあるボールをもう1度甲子園で見たいし、また同じユニホームを着て戦えるのが楽しみです」

 金本新体制の「補強第1弾」はニュー球児だった。今季、先発5番手以降、手薄だったチームにとって、強力な補強になりそうだ。