和製チャプマンとして父に会いたい-。ヤクルトの新入団選手発表会が11日、都内のヤクルトホールで開かれた。米国人の父を持つドラフト4位の日隈ジュリアス投手(18=高知中央)は、「父とは4歳の時から会っていません。1日でも早く神宮球場でプレーして、野球をしている姿を見せたい」とプロでの成功を誓った。

 14年間の空白。01年の「9・11」が、家族を離ればなれにさせた。父フランクさんは当時、沖縄の米海兵隊に勤務。米中枢同時テロ事件の現場に出向した。激化するイラク戦争の影響で連絡が取れなくなり、消息不明になった。「もう会えないと思っていた…」。ところが9月、ドラフト直前のテレビ企画で、父の生存が確認された。「本当にうれしかった。今はお母さんが連絡を取り合ってます」と喜んだ。

 誰もが目を見張る屈強な体は、父の遺伝子を譲り受けた。184センチ、77キロ。最速145キロの速球、スプリット、カットボール、チェンジアップなど多彩な変化球も操る左腕は「ハーフとして、同じハーフの子どもたちの希望となりたい」と胸を張った。

 母敦子さん、弟のモンテル君も会場で見守った。日隈は「目標は高く160キロを出したい。(最速169キロの)チャプマン(レッズ)のような偉大な選手になりたい」と掲げた。育ててくれた母のため、遠く離れて暮らす父と再会するために-。1日でも早く、マウンドでの勇姿を届ける。【栗田尚樹】