「打てる捕手」が、意地のひと振りで猛アピールした。楽天伊志嶺忠捕手(30)が6日、ソフトバンクとのオープン戦(岡山・倉敷)の9回に代打出場し、チーム初得点の適時二塁打を放った。1死一、二塁から岡本の143キロ直球を振り抜くと、強いライナーが右翼で弾んだ。「ランナーがいたので、どうにかしてかえしたい気持ちでした」と会心の表情だった。

 前日5日の同カードにも「9番・捕手」で先発出場し3打数1安打。バンデンハークの152キロを完璧に捉え、右前へはじき返した。「打撃に関しては、いい感じできています。バッティングに期待して使ってもらえるのはうれしい」。この1本でオープン戦3試合の成績は7打数4安打、打率5割7分1厘となった。

 絶対的存在の嶋にルーキー足立や前ロッテ川本などが加わり、正捕手争いは激しさを増すばかり。左の強打者という武器を首脳陣に見せつけていく。「もちろんキャッチャーで勝ち残りたいけど、代打でも一塁でもいい。どこでもやるので試合に出たい」と決意は固い。梨田監督は「9回は5点負けていたけど、気持ちの上では0-0から、よしサヨナラという雰囲気で攻めた。諦めない一体感があった」と評価。持ち味のバットで「伊志嶺」の存在を伝えていく。【松本岳志】