ONOいいね! 阪神ドラフト2位の小野泰己投手(22=富士大)が、1回完全デビューで開幕ローテ入りに前進した。22日、プロ初実戦となる紅白戦(宜野座)に6回から登板。ドラフト1位大山悠輔内野手(22=白鴎大)を最速151キロで打ち取るなど、速球を主体に3者凡退に抑えた。金本監督は「将来的に大エースになるんじゃないか」と大絶賛。先発6番手争いから抜け出す勢いだ。

 デビュー戦でも、小野はいつもと変わらず、表情を変えずにマウンドへ上がった。「ブルペンで投げるときは緊張しましたが、マウンドに上がるとそうでもなかったです」。6回から登板。先頭梅野への2球目だった。内角への直球で二ゴロに料理。この時、スカイAの中継画面は151キロを計時していた。

 注目のルーキー対決となった大山にも勝った。「抑えたい気持ちで投げました」。再び151キロの直球で押し込み、右飛に仕留めた。最後は坂本を150キロの直球で二ゴロ。予定されていた1回をピシャリと抑えると、高い素質を目の当たりにした虎党から大きな拍手が起こった。

 前日にポイントに挙げた直球に手応えを感じた。「まだ3人しか投げていないんで」と控えめながら、「指にかかった時は良かったです」と手応えを口にした。もちろん課題もある。スライダーやフォークの制球が安定しなかったことだ。「変化球はゾーンに投げられなかったです。そこを修正したいです」と実りある初マウンドを振り返った。

 金本監督はそんなドラ2ルーキーを大絶賛した。「何かきっかけをつかんだら相当勝つと思うけどね。1年目からはなかなかあれだけど、将来的に大エースになるんじゃないかなという可能性を秘めている」。これ以上ない言葉でたたえた。

 ブルペンやシート打撃で評価を高めてきたが、この日の快投で、一気に開幕ローテも手中に収める勢いだ。先発はメッセンジャー、藤浪、岩貞、能見の4本柱が軸になるが、昨季4勝の青柳も有力。第6の男を巡るバトルが展開される中、この日打者を圧倒した投球内容は、高いプラス点だ。

 香田投手コーチは今後について、沖縄での実戦登板はなく、ブルペンで調整させる方針を示した。「イニングとか球数を増やしてどうなるのか。2軍の試合(教育リーグ)を使いながらね」。金本監督のハートをわしづかみにした1イニング。次回3月の登板で、先発ローテの確定切符をつかみにいく。【山川智之】

 ◆小野泰己(おの・たいき)1994年(平6)5月30日生まれ、福岡出身。折尾愛真から富士大。福原コーチの背番号28を受け継ぐ。入団時のアンケートで好きなタレントは本田翼、座右の銘は「夢叶うまで挑戦」と答えた。184センチ、75キロ、右投げ右打ち。今季推定年俸1200万円。