開幕前は“塩対応”で話題が先行。正直で真面目な性格がゆえに、社交辞令が苦手だ。インタビュアーの質問にぶっきらぼうに「分かんないっすね」と対応したことが、一部で話題になった。プロとして反省し、あらためる一方で、慶大の同級生からは「お前らしくていい。貫くところは貫け」と助言された。「らしくない」と言われて喜ぶ慶応ボーイ。ジョンソンが咽頭炎で離脱し、急きょ回ってきたチャンスを、ハートで奪い取ってみせた。135球の熱投デビュー。最後はルーキーらしく「ウイニングボールは親に渡します」とはにかんだ。【池本泰尚】

 ▼プロ初登板の加藤が9回1死まで無安打。デビュー戦で先発して8回を無安打に抑えたのは、初登板でノーヒットノーランを達成した87年8月9日近藤(中日)以来、30年ぶり。ドラフト制後は近藤と加藤の2人のみ。過去に新人のノーヒットノーランは36年沢村(巨人)39年中尾(巨人)54年山下(近鉄)65年外木場(広島)87年近藤の5人しかおらず、デビュー戦では近藤だけ。新人の無安打無得点も近藤が最後。なお、広島の新人で初登板初勝利は16年3月30日横山以来12人目。

<加藤拓也(かとう・たくや)アラカルト>

 ◆生まれ 1994年(平6)12月31日東京都生まれ。22歳。

 ◆サイズ・投打 身長176センチ、体重88キロ、足のサイズ27・5センチ、右投げ右打ち。

 ◆球歴 小2で野球を始め捕手。中学時代は杉並シニアで関東選抜入り。慶応高では捕手として1年からベンチ入りし2年から投手。甲子園出場はなし。

 ◆ドラフト 田中正義で外れ、佐々木千隼で外れの末1位指名。

 ◆ライアン2世 足を高く上げるフォームが特徴。「慶大のライアン」の異名も。

 ◆二刀流 慶大ではリーグ戦で3発。打撃のパワーも自慢。

 ◆東大戦でも 大学1年秋に150キロをマークし、東京6大学野球通算26勝。16年秋の東大戦では無安打無失点投球を達成。武器は最速153キロの直球。

 ◆塩対応 オープン戦インタビューの「ふてぶてしさがいい」との声も。

 ◆秀才 確定申告の参考書を持参して入寮。

 ◆出世部屋 104号室はドジャース前田、野村らが出た。

 ◆座右の銘 「偶然は準備のできていない人を助けない」

 ◆好きな食べ物 すし。