球界最年長であるロッテ井口資仁内野手(42)が20日、ZOZOマリンで会見を開き、今季限りでの現役引退を表明した。

 ダイエー、ロッテのフロントとして井口獲得に携わった瀬戸山隆三氏(63=前オリックス球団本部長)は「王イズムの貴重な継承者だった」と今季限りの引退を惜しんだ。ダイエー球団代表だった96年ドラフトでは巨人、中日などとの争奪戦の末に青学大・井口の逆指名にこぎ着けた。当時のダイエーは王監督就任も2年連続Bクラス。王イズムの浸透に井口が必要な存在だったと考えた。

 「王さんは常勝だった巨人育ち。勝つためにすべてをハードにやらないといけないと求めたが、弱小のダイエーに実行できる選手はいなかった。本当にやれたのは小久保(裕紀)が最初。井口なら続くことができると思った。すべての手段を使っても、入団してもらいたいと思った」

 瀬戸山氏によれば、王監督の井口への指導は厳しかった。松中、城島といった個性派に比べて内向的と感じた王監督は「もっと自分をさらけ出せ!」などと痛烈な言葉も浴びせた。それでも井口は「見返してやる」と負けん気を発揮。期待に応え強豪へ押し上げる屋台骨となった。

 瀬戸山氏はロッテ球団社長としても米球界から井口を獲得。「修羅場をくぐっているという意味で井口の右に出る者はいなかった。彼は勝つ方法、そして勝つことがどれだけ苦しいことかも知っていた。長い間、本当にお疲れさま」とねぎらった。【大池和幸】