広島が独走モードに突入だ。2位阪神との直接対決で、菊池涼介内野手(27)がきつ~い1発を見舞った。4回。リードが2点に広がり、なおも2死一塁。「反応」と振り返る1発は、岩貞の内角直球を仕留めたもの。左翼席奥のコンコースに着弾する推定130メートル弾。阪神の左翼福留が1歩も動かない特大5号2ランで、試合を決定づけた。

 171センチ、72キロの体格から養った感覚でぶっ飛ばした。飛距離のルーツは憧れにある。武蔵工大二時代に「ロングティーを見て、化け物だと思った」と憧れたのが、2学年上で元ソフトバンクの中原恵司氏だ。まだ体も小さかった菊池は飛距離に目を輝かせた。「飛ばすことに憧れた。もう、ロングティーばっかりした」と笑う。バットを入れる角度、スピンの掛け方。「コツがあると分かった」と感覚をつかんだという。中京学院大に進み、飛距離に磨きをかけた。繊細で抜群の感覚が体格をカバーする。緒方監督も「大きい大きい本塁打を打ってくれて。本当に大きかった」と目を細めた。

 菊池の1発でチームは完全に流れに乗り、無失点リレーで今季最多の貯金18。2位球団とのゲーム差を今季最大の「5」とした。菊池は「球宴まで貯金を削らずにいければ」。鯉の独り旅が始まりそうな気配だ。【池本泰尚】