ベテランが、攻守で存在感を示した。楽天松井稼頭央外野手(41)が、1点ビハインドの9回2死一、二塁から代打で登場し、同点適時打を放った。延長10回からの守備では14年8月14日以来の遊撃に就き、ミスなくプレー。あわや敗戦のピンチを救う活躍で、引き分けに導いた。

 松井稼が、三塁側ベンチ前でキャッチボールを始めた。延長10回表、守備に就く準備を始めた。見慣れない内野グラブをはめている。ベンチに座るウィーラー、アマダーはその姿を見て楽しそうに笑った。肩慣らしを終えると、軽快な足取りで遊撃の位置に入った。14年以来3年ぶりに見る景色は、いつもと違った。かつて遊撃で4度ゴールデングラブ賞を獲得した名手も「見ている余裕もなかった」と苦笑いだった。

 月曜にもかかわらず、2万4931人が集まったKoboパーク宮城は大盛り上がりを見せる。その期待に応えるように、今年42歳を迎える男が華麗にプレーを披露した。延長11回1死一塁ではゴロを軽快にさばき、二塁手の藤田にトス。遊併殺を完成させ、笑顔でハイタッチを交わした。「緊張したけど、ミスが出なくて良かった」。藤田も「ゲッツーをしたいと思っていた。久々に二遊間を守れて懐かしかった」と堪能した。ファンにとっても、たまらない瞬間だった。