ベテランの一振りで試合を決めた。広島新井貴浩内野手(40)が代打決勝2点適時二塁打を放った。1点を追う7回2死二、三塁からDeNAパットンの内角直球をとらえた。この二塁打で通算3501塁打とし、プロ野球28人目の3500塁打を達成。チームも3連勝で貯金19。2位阪神とのゲーム差を6に広げた。ベテランに導かれ、広島が突っ走る。

 二塁上でガッツポーズをつくり、新井は12回も手をたたいた。1点を追う7回2死二、三塁、代打で登場。1ボールからの2球目。DeNAパットンが投じた内角直球をとらえた。不惑の男のものとは思えない打球は、鋭いライナーで勢いを失わないままフェンスに到達。「うれしくなった」。大喜びするベンチを見て、新井はまた笑顔をつくった。

 読んでいた。「真っすぐがいい投手。カントリー(エルドレッド)、アツ(会沢)の攻め方も見ていて、頭にはあった」。クルリと体を回転させる熟練の一打はプロ野球28人目となる節目の3500塁打を達成するものにもなった。「あまりピンと来ないかな。ゲームに勝てたことがうれしい」と頭をかき、何よりも24回目の逆転勝利を喜んだ。

 横浜での打率は3割6分4厘。セ・リーグの本拠地のなかで一番高い。その理由は…。「NO・1のところがあるんよ」。無趣味を公言する男が唯一、楽しみにしているのが「銭湯巡り」。全国の遠征先で巡るが、横浜の宿舎近くには「番台のあるこぢんまりとした銭湯」がある。訪れるのはもっぱら「地元民」。加えて、だて眼鏡の変装に189センチの体を丸めれば、気付かれることはない。