同監督だけには、この日の試合前練習後に球団から森コーチの死去が伝えられていた。「数日前まで一緒に戦ってきた仲間。優勝を目指して頑張ってくれていたし…」と言葉を絞り出した。同コーチのためにも勝利を、という思いを1人、胸の内に秘めて指揮を執ったが、試合は延長戦の末に惜敗。残念ながら白星を贈ることが出来なかった。「今日は本当に勝ちたかったんだけど。投手もみんな頑張ってくれていたし。つらいです」と、唇をかみしめた。

 通夜、告別式の日程は未定。球団としての対応も決まり次第、発表される。昨季途中から1軍投手コーチに就任し、ブルペンを担当。投手陣の良き兄貴分として慕われていた。選手たちはみな悲しみをこらえ、無言で帰りのバスに乗り込んだ。42歳。あまりに若すぎる死に、チームは悲しみにつつまれた。

 ◆森慎二(もり・しんじ)1974年(昭49)9月12日、山口県生まれ。岩国工から新日鉄光、新日鉄君津を経て96年ドラフト2位で西武入団。プロ1年目からリリーフで活躍。02年にはリーグ最多の71試合に登板し32ホールドをマーク。03年も26ホールドで2年連続最優秀中継ぎ投手。06年1月にポスティングシステムで大リーグのデビルレイズ(現レイズ)に移籍。同3月20日、マイナーリーグのフィリーズ戦に先発し、3球で右肩を脱臼。関節唇損傷で回復が遅れ、大リーグ未登板のまま07年6月に解雇。09年、BCリーグ・石川の選手兼コーチとなり10年から監督。15年に西武2軍投手コーチ就任。16年途中から1軍コーチに昇格した。189センチ、90キロ。右投げ右打ち。