また1つ快挙を刻み、チームをリーグ連覇へと加速させる。広島が今日17日、阪神戦(甲子園)で後半戦開幕を迎える。新井貴浩内野手(40)は現在、歴代16位タイの通算2282試合出場。あと2試合でミスター赤ヘルと呼ばれた山本浩二氏(70)に並ぶ。若き4番鈴木のサポートを惜しまず、代打業でも全力を尽くすベテランが、チームを支え続ける。

 再開するリーグ戦で、ベテラン新井にいきなり節目の試合が訪れる。前半戦62試合に出場し、プロ入りから積み重ねた出場試合は歴代16位タイの2282試合に達した。あのミスター赤ヘル、山本浩二氏の2284試合にあと2試合だ。「そういう記録は長くやらせてもらっているおかげ。お世話になった人に感謝したい」。個人よりもチームのことを重視するベテランは「いいスタートを切りたい。1戦1戦戦っていきたい」と足もとを見つめた。

 開幕を4番で迎えた今季は徐々にスタメンを外れる機会が増え、代打での起用が増えた。スタメンとの併用では思うように代打で結果を残すことはできなかったが、最近、代打10打席は7打数3安打3四球で代打成功率4割2分9厘。3安打は1本塁打を含む3長打で6打点と勝負強さが光る。「チームが苦しいときにチームを救う準備をしたい」。頼れるベテランが終盤の切り札となる。

 新井に代わって4番に入るのは、22歳鈴木。緒方監督は「将来を見据えた中で育ってくれるに越したことはない。(打線の流れが)止まるようであれば、打順は入れ替えようと思う。彼を育てる1年じゃない。戦いの中で4番に成長して欲しいという期待もある」と後半戦も4番に据える考えを明らかにした。大きな重圧を背負う4番の苦労を誰よりも理解するのが新井だ。「あの年齢で4番に入って、数字的には十分。今やっていることを続けて欲しい。何か向こうから言ってきたらサポートしたい」。悩める4番の援軍も惜しまない。

 ベンチから見守る機会が増えた今季も、やることは変わらない。「いい準備をして言われたところで結果を出したい」。不惑のベテランは立場が変わっても、連覇を目指すチームには欠かせない。【前原淳】