逆転優勝はあきらめん! 阪神金本知憲監督(49)が16日、先手必勝を攻撃陣に厳命した。後半戦開幕カードの広島戦が今日17日から甲子園で行われる。6回まで1点でも多く取り、自慢のリリーフ陣で逃げ切るプランを掲げた。首位広島に8ゲーム差をつけられているが、「そこしか見ていない」と指揮官はリーグ制覇に強い決意をみなぎらせた。ペナントレースの命運をかけた3連戦が始まる。

 打倒広島のプランは鮮明に描いていた。後半戦の初戦は首位チームとの3連戦。相手の先発は今季初対戦となる右腕野村だ。5勝ながら鯉投の軸として防御率2・55の安定感を誇る。甲子園の全体練習を見守った金本監督は決意をにじませた。「誰が先発であれ、先に点を取る。6回までリードする展開にもっていかないと」。本拠地での先制攻撃を野手に厳命。先に仕掛け、主導権を握る。その思いは強かった。「6回までに打って点を取る。うちのピッチャーが2点取られたら、3点取る。それで7、8、9回の3人につなげる」。桑原-マテオ-ドリスの盤石リレーで先手必勝のシナリオを完成させる。

 宿敵が節目に立ちはだかる。開幕カード、交流戦明けはいずれも敵地の広島戦だった。1勝4敗と出ばなをくじかれた。今回は地元甲子園で戦える。本拠地ならば、5勝1敗とデータはひっくり返る。「甲子園は3回目か。5勝1敗。どこが、どうとかあまり関係ないけどね。地元なので、地元のファンに甲子園でいい試合ができるように」。5月には9点差の歴史的大逆転もあった。虎は前半戦3連勝ターンを決めており、打線も復調気配だ。頼もしい虎党の声援もある。2試合で2敗した6月下旬の前回カードのような力の差はないだろう。

 指揮官は逆転優勝への思いを強く持つ。首位広島とは8ゲーム差。球団の歴史では、この状況でリーグ制覇した記録はない。もちろん、広島との距離は分かっている。「それは近くはないよね。しんどい作業になると思うけど、正直、そこ(優勝)しか見てない。上しか見てないし、前しか向かない。選手に浸透させたいしね」。逆境でこそ、本領を発揮する。プロ野球選手に求められる精神を、選手に伝えるためにも、先頭に立って、逆転優勝を狙う。

 阪神の自力優勝の可能性が消滅するのは、最短で22日だ。この瞬間、広島に優勝へのマジックが点灯する可能性がある。ペナントレースの命運をかけた3連戦。打倒広島には、攻めの姿勢が求められる。【田口真一郎】

 ◆後半戦は6シーズン勝ち越しなし 球宴後の試合で阪神が勝ち越したのは、10年(30勝27敗2分け)が最後。6年間にわたり貯金がない(勝率5割が3度)。昨年も27勝29敗で借金2に終わっている。

 ◆自力優勝消滅の危機 阪神の最短での自力V消滅は22日。明日17日から阪神が5連敗し、広島が5連勝または4勝1分けのとき、がそのケース。その場合、DeNAの結果いかんでは、広島に優勝マジックが点灯する。虎にとって今季最大の正念場とも言える今回の3連戦。直接対決で反撃態勢を整え、奇跡の逆転Vにつなげたい。