中日京田陽太内野手(23)に盗塁量産指令が下った。後半戦開幕の巨人戦を翌日に控えた16日、ナゴヤドームで練習を行った。15盗塁で広島田中に4差の3位にいる京田に、首脳陣はさらなる積極スタートを課す。

 ドラフト2位ルーキーは、この日も最後までグラウンドにいた。テーマは盗塁。メニューの最後に行われた1カ所打撃。一塁でリードをとり、投手の鈴木、丸山を見ながら何度もスタートを切った。1人で、姿勢など細部にわたってスタートの練習を徹底した。

 指導した森脇内野守備走塁コーチは「アウトになったらいけない場面はあっても、行ったらいけない場面はない。無死でも2死でも。あいつが動くことで全体を動かしてほしい」と、京田の走力をテコにした得点パターンを描く。1番京田が二塁まで進めば、得点率が上がり、中日ペースで試合は進む。前半戦で何度も証明されてきた。

 甘い世界ではない。完璧なスタートでも刺されたことがある。積極性を失った時期もあり、ベンチ内で森監督が「走ってもよかったんじゃないか」とコーチ陣につぶやくこともある。

 「警戒される中でも走っていかないと、僕が何のためにいるのか分からない。難しいけど勇気が一番大事なので」と覚悟を決めた。2リーグ制後、新人で盗塁王になったのは01年の阪神赤星だけ。個人タイトルへの注目も高まるが、京田はチームのために勇気を出す。3位と4・5ゲーム差で再開するペナントレース。その足にかかる比重は日増しに大きくなる。【柏原誠】