西武秋山が、一振りで試合を決めた。2-2の5回無死一、二塁。鍵谷の135キロのフォークを、右中間スタンドへ放り込んだ。「結果、良しです」という決勝の18号3ランは、つなぎの気持ちで打った。狙いは進塁打。引っ張れる球を待ち、思い描いた通りに打球を飛ばした。右飛でも二塁走者がタッチアップできる十分な飛距離も「あんなに飛ぶとは思わなかった」。チーム打撃に徹する意識が、最高の結果になった。チームのために、自分を犠牲にできる。「やった分だけ、自分に返ってくる」と、考えられるからだ。意味のある凡退なら構わない。決勝弾がスタンドに届かなかったとしても「納得できていた」とすがすがしい。辻監督も「打撃に意図があると、こっちもうれしい」と、たたえた。

 心構え通りに個人成績も上がっている。この日は5打数3安打4打点でシーズン安打数を109とし、最多安打争いでリーグ単独トップに躍り出た。打率も3割2分2厘で首位打者のソフトバンク柳田に1厘差と肉薄した。秋山は「今トップでも誰かが褒めてくれるわけではない」と、気を引き締める。また次の試合も、チームのためにバットを振る。【木下大輔】