オープン戦は1軍に同行するも、その後は2軍で課されたメニューに黙々と取り組んだ。試合には同行せず、鳴尾浜で黙々とバットを振り込む姿が見られた。それは遠征行きのメンバーを外れたからではない。ウエートトレーニングで体を鍛え、基礎体力を強化する時間を作るためだった。居残り練習のロングティーでは当然のようにスタンドイン。和製大砲の片りんを見せつけていた。掛布2軍監督も「いずれは甲子園で活躍してほしい選手」と期待を込めていた。

 1段ずつ階段を上り詰め、着実に歩を進めてきた。前日1日中日戦(甲子園)で、ついに虎の第101代4番を任された。新人選手が複数試合で先発4番を務めるのは2リーグ分立後、球団史上初めての快挙だ。

 金本監督も「流れを引き戻して、大きかった。練習の通りの当たり。(バットの)先だと思うが、軸がブレずに体の力がちゃんとバットに伝わった打ち方ができている」と日頃の成果を認めた。連日4番に起用したメンタル面も評価した。「昨日から2試合続けて4番で打点を挙げて、チャンスでも平常心でもいける。大したもんだと思う」。大逆転Vまで、成長著しいドラ1が虎を引っ張っていく。【真柴健】

 ▼4番で2試合目の出場となった大山が本塁打。新人4番打者の本塁打は、92年7月29日町田(広島)がヤクルト戦で記録して以来、25年ぶり。町田は4番で15試合に出場し、大山同様に4番2試合目で本塁打を放った。阪神の新人4番打者(プロ野球初年度の36年を除く)の1発は、1リーグ時代を含めても大山が初めてになる。