ロッテ田村龍弘捕手(23)が攻走守に活躍した。3回1死の第1打席は、千賀の147キロ直球を中前にはじき返す安打。続く平沢の打席では、空振り三振の間に二盗を決めた。5回の第2打席は、2死三塁から128キロのスライダーを左前に運ぶ適時打とした。

 第1打席は直球、第2打席は変化球を安打し、チームで唯一の2安打、打点を稼いだ。

 「狙ってました。今日は珍しく全部の球で読みが合っていた。こんなことは初めて。(千賀は)150キロ以上の直球とフォークですから、読まないと打てないと思っていた。いつもは球種を読んで打つタイプじゃなくて、コースで狙うんですけどね」。

 試合後は抜き打ちのドーピング検査対象に選ばれて血を抜かれたが、山下野手総合兼打撃コーチと一緒に磨いてきた読みがドンピシャで当たり、口も滑らかだった。

 走塁でも今季2個目の盗塁を決めた。ギリギリのタイミングでセーフの判定を呼び込み「(肩が)球界ナンバーワンの(甲斐)拓也さんからですからね。疑惑の盗塁ですけど」と笑い飛ばした。

 読みの鋭さは、守備面でも生きた。6回1死一塁、8番甲斐の初球を外角高めにウエストした。甲斐はバントの構えをしていたが、ソフトバンクのベンチはバスターエンドランを仕掛けてきた。「走者は足の速い(上林)誠知だし、打者は8番の拓也さん。これが柳田さんやデスパイネの前ならともかく、初球からただのバントで簡単に送ってくるとは思っていなかった」。甲斐はバットを放り投げたがボールに届かず、田村が二盗を試みた上林を刺す形となった。

 田村の奮闘もむなしく1点差の敗戦となったが、若き頭脳派捕手は雄弁だった。【斎藤直樹】