富士大(岩手)が八戸学院大(青森)を2-0で下し、31度目となるリーグ8連覇を達成した。先発左腕の鈴木翔天(そら、3年=向上)が9回途中まで投げ、最後は加藤弦(4年=八重山商工)が締めくくった。主将の小林遼捕手(4年=仙台育英)が大学日本代表でユニバーシアード(台湾)出場のため、開幕4試合を欠場。攻守の要を欠く中、鈴木が完全試合を達成するなど、下級生が台頭してつかんだ悲願だった。10月21、22日に行われる明治神宮大会東北地区代表決定戦(花巻)の初戦は東北福祉大(仙台6大学)と対戦する。

 最後の打者を見逃し三振に打ち取った瞬間、小林はマウンド上へ一目散に駆けだした。左手のキャッチャーミットには、しっかりとウイニングボールが握られていた。入学から1度も優勝を逃すことなく8連覇を達成した主将の目からは、うれし涙があふれていた。

 小林 うれしいのひと言。代表から帰って合流してからのノックでも、ちゃんと声が出ていた。負けて吹っ切れていた。チームに一体感があった。

 主将不在を、後輩が支えた。第2週の八戸工大(青森)との1回戦に敗れて出足につまずく中、2回戦で鈴木が完全試合でやり返した。豊田圭史監督(33)は「あそこの1敗からチームは出直せた。負けたら後がない中、鈴木がよく投げた」と振り返る。主将不在を3勝1敗で乗り切り、合流初戦となった青森大との1回戦では小林が第1打席で本塁打。完全にチームは本来の姿を取り戻した。

 8連覇達成以上に燃える理由があった。東北福祉大との再戦だ。7月の東北地区大学選手権決勝では福祉大に7-0でコールド勝ち目前から、大逆転負けを喫した。試合後、小林はあまりの悔しさに号泣した。「負けて悔しいのは僕だけじゃない。こういう思いをしたくない」とリベンジに燃える。試合後、「あと6連勝で日本一だ」とハッパをかけながらも、男泣きした豊田監督は「この一戦は死ぬ気でやる」と既に気を引き締めていた。2年連続4度目の神宮出場を決めて、常勝軍団になる。【高橋洋平】