短期決戦に強い男が帰ってくる。背中の強い張りで離脱中の阪神西岡剛内野手(33)が、明日9日開幕のみやざき・フェニックスリーグの巨人戦(KIRISHIMAサンマリン)で実戦復帰する。7日は甲子園室内で故障後初のシート打撃を行い、全3打席で鋭い安打性を放った。05年と10年にロッテで、14年には阪神で、レギュラーシーズン勝率2位以下のチームを3度日本にシリーズに導いたミスター下克上。完全復活で打倒DeNA&広島はお任せだ。

 ミスター下克上が、CSに向けてスタンバイだ。背中の強い張りで2軍調整中の西岡が、明日9日に始まるみやざきフェニックス・リーグに参加することが決まった。山田2軍監督代行は「フェニックスには行くよ。実戦に出てみて、どうかというところ」と実戦復帰を明言。開幕巨人戦はDHで出場する見込みだ。

 雨天のこの日は、甲子園の室内練習場で汗を流した。左打席でフリー打撃を終えると、キャッチボールを行い、ノックを受けた。さらに、9月13日の抹消後初のシート打撃を敢行。全3打席で安打性の当たりが3本と、10割打撃を披露した。対戦投手は左腕の山本と右腕の田面と松田で、左右両打席から快音を響かせた。状態は良さそうだ。

 報道陣の問いかけには「何もない」と険しい表情だった。だが車に乗り込む際に「いい当たりが多かったのでは?」との問いに、うなずいて球場を去った。山下2軍チーフトレーナーは「(西岡から)右では打てると思うから左(打席)の確認がしたいと聞いていた」と明かす。左右両打席でしっかり状態を確認し、実戦復帰準備を完了。目指すは、14日開幕のCSファーストステージDeNA戦(甲子園)だ。

 勝利の味を、短期決戦の勝ち方を知る男が帰ってくる。14年CSでは全6試合に1番三塁でスタメン出場して27打数10安打、打率3割7分をマークして2位の阪神を日本シリーズ出場に導いた。また、ロッテ時代の10年には3位から、05年にはレギュラーシーズン勝率2位から日本一に貢献。勝率2位以下のチームを3度も日本リーズに出場させた、正真正銘の下克上を知る男が戻ってくれば、チームは最高に心強い。

 アキレス腱(けん)断裂の大けがを克服して今年7月に復帰し、本職ではない一塁や外野にも挑戦。9月中旬に再び故障離脱したが、チームの勝利だけを考え、復活を目指してきた。下克上日本一へ、西岡の出番がやってくる。【真柴健】

<故障と復活…西岡の歩み>

 ◆負傷 昨年7月20日巨人戦(甲子園)の走塁時に左アキレス腱(けん)を断裂。26日に大阪府内の病院で手術を受けた。

 ◆引退決意も テレビでケガを目撃した掛布元2軍監督は、嫌な予感がして電話。「お前、やめると思っているだろと言ったら(西岡が)分かりました? って言ったんだよ。やめたらアカンよ」。説得もあり、引退を思いとどまったという。

 ◆復活 今季後半開幕戦の7月17日広島戦(甲子園)でスタメン復帰。初打席の初球にセーフティーバントを試みるなど復活をアピールした。

 ◆悪夢再び 8月23日ヤクルト戦(神宮)の走塁中に左足かかとを痛めて交代。アキレス腱(けん)を切った箇所に近かっただけに心配されたが、幸い同箇所の打撲と診断を受けた。24日に出場選手登録を外れ12日後に1軍合流した。

 ◆2度目の離脱 腰に強い張りを訴えて、9月12日巨人戦(甲子園)を欠場。大阪市内の病院で診察を受け、13日に登録を抹消された。10月3日に鳴尾浜でのリハビリを開始した。

<西岡過去のCS下克上>

 ◆05年ロッテ 第1ステージ西武戦の第1戦で好守を連発。第2ステージのソフトバンク戦は全試合にフルイニング出場。打率3割1分6厘(19打数6安打)に加え5盗塁も決め、相手バッテリーを積極的に揺さぶった。

 ◆10年ロッテ ファーストステージ西武戦第1戦の8回、同点ソロを放ちチームに勢いを与えた。ソフトバンクとのファイナルステージでは不調も、第4戦の守りで左翼清田と激突しながら打球を追うなどハッスルプレーを連発。主将の意地を見せ続けた。

 ◆14年阪神 ファーストステージ広島戦第2戦で3安打し、波に乗る。巨人とのファイナルステージ第1戦で初回先頭打者として左前打し、鳥谷の先制打、ゴメスの2ランを呼んだ。第4戦では2ランを放ってリードを6点に開き、勝利を決定的にした。チームは4連勝で巨人を圧倒し、初のCS突破を決めた。