ロッテが選手生活を終えたばかりの井口資仁新監督に再建を託した理由は、チームづくりの継続性にある。

 今季は最下位に終わったが、伊東監督が指揮を執った5年間を、球団は世代交代のために種をまいた時期と評価しており、後任監督は内部昇格が理想と考えていた。

 井口監督は生え抜きではないが、ロッテに9年間在籍し、2010年の日本一からどん底に落ちていく過程に身を置いてきた。指導者としての経験がないことよりも、チームの潜在能力や問題点を把握していることが、立て直しを急ぐ現状では強みになると判断した。

 山室球団社長は引退即監督就任について「イレギュラーであるけど(今は)こういう形でやった方がチームの底力、若い人の力を結集し、強いチームにつくり直せるのではないか」と説明した。

 期待されるのは井口監督が経験した米大リーグのように選手に自主性や考える習慣を植え付けることだ。伊東監督の下、若い選手はナイター後に居残り練習をするなど厳しく鍛え上げられてきた。これに受け身だけでない練習が加わることで、ステップアップを図る狙いもある。

 日米21年間の実績に加え、人気、知名度でも申し分ない人選。あとは再建に向けて球団がいかに総力を挙げてバックアップできるかにかかっている。