死闘は始まったばかりだ。ソフトバンクが、楽天を本拠地ヤフオクドームに迎えてのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ第1戦に2-3で敗れた。アドバンテージの1勝を含め、1勝1敗のタイとされたが、4番復帰した内川聖一外野手(35)が意地の1発を放った。9回に反撃のソロアーチ。CS男が日本シリーズへの道を切り開いてくれるはずだ。

 「4番内川」が強烈な1発を見舞った。9回2死。マウンドにいたのは、もちろん、楽天の守護神松井裕だ。内角高め143キロ直球をとらえると、打球は左翼ポール際のスタンド中段へ突き刺さった。敗れはしたが、意地の1発。今季52試合に投げて被本塁打0の松井裕からのアーチは第2戦以降を考えても、大きな意味を持つはずだ。「勝つか負けるかでやっている。これを明日につなげないと何の意味もない」。今日19日こそ白星をもぎとる決意を言葉に込めた。

 工藤監督が前日17日に明言した通り、4番で出場。初回の第1打席は空振り三振。4回は三遊間への強い打球だったが三ゴロ併殺打となった。「最初は力み倒していた。自分の気持ち、力の入れ方を修正した。4回の一打があったから本塁打につながった」。しっかりと修正し、右前安打を放った第3打席から快音を連ねた。試合中の内川の表情は普段以上に目力があり、鬼気迫っていた。「普段と違わないといけない部分はある。自然とそうなる」。過去のCSで2度MVPを獲得している「CS男」らしく、短期決戦への心構えもばっちりだ。

 勝敗はアドバンテージの1勝を含め、1勝1敗のタイとされたが、工藤監督は「内川にも2安打出た。打撃陣も久しぶりのゲームだった。また明日(19日)につながるように。この緊張感を理解した。明日はみんな体が動くだろう」と、前向きにとらえた。シーズン最終戦の8日楽天戦から中9日、パ・リーグ最速で決めたリーグ優勝の9月16日西武戦からは中31日と1カ月も間隔が空いてしまった。工藤監督は「こっちは迎え撃つ側だけど、チャレンジ、闘争心を持つことがなによりも大事」と話した。

 東浜の3被弾は誤算だったが、自慢の中継ぎ陣は6回途中から無失点リレー。1位で出場するCSファイナルステージ初戦に敗れるのは3位ロッテに下克上された10年以来。不吉なデータは、史上5位の94勝を挙げた底力で跳ね返す。【石橋隆雄】

 ◆CSファイナルステージの主なルール 6試合制で、シーズン優勝球団には1勝のアドバンテージが与えられ、全試合ホーム。延長戦は12回まで。12回表終了時や12回裏の攻撃中に後攻チームの勝ち上がりが確定した場合、その時点でコールドゲーム。引き分けを除いた勝ち数が同じ場合はシーズン上位球団が勝者。悪天候などで25日までに試合を消化できなかった場合、その時点で勝ち数の多い球団が勝者。予告先発はパだけ実施。