監督人生初ドラフトで、逸材ゲットだ。ロッテが外れ1位で3球団競合の履正社・安田尚憲内野手(3年)との交渉権を獲得。高校通算65本塁打で、チーム待望の和製大砲候補が加わる。今季で現役を引退し、新たに指揮を執る井口資仁監督(42)が、この上ない素材を手に入れた。

 井口監督は、いち早く確信した。7球団競合の早実・清宮は逃したが、外れ1位で安田を獲得。壇上で右拳を握る山室球団社長が目に飛び込んだが、「ガッツポーズの前に、他の2球団がガッカリしていたので。うちかな、と思いました。やっぱり社長ですね! 『(くじ引き役は)今年で引退』とおっしゃってたけど、来年もお願いすることになりました」と、満面の笑みで感謝した。昨年も外れ1位で5球団競合の桜美林大・佐々木を引き当てた同社長に、くじ引き役を依頼した“采配”が実った。

 2日前のスカウト会議では、1位は清宮か安田かで評価が割れた。結果的に、井口監督が「清宮君以上の評価もあった。僕もそう」と話す安田を手に入れた。今季のチーム本塁打95本はリーグ最少。歴史的大敗で最下位に沈んだ一因となった。特に、日本人の長距離砲がいない状況が長年、続いている。それだけに、高校通算65本塁打の若者に、指揮官は「即戦力で考えている。長打も、アベレージもあり、守れる選手。クリーンアップに育って欲しい」と期待の言葉を並べた。

 来春キャンプは1軍、2軍の枠を撤廃し、全員横一線でスタートさせる方針だ。三塁には、11月の「アジアプロ野球チャンピオンシップ」日本代表にも選ばれた中村がいるが、高校生ルーキーにもチャンスはある。井口監督は「レギュラーを取るつもりで全力で来てほしい。1年目から成績を残せる選手。それだけのものを持っている」と熱く呼び掛けた。【古川真弥】

 ◆最近のロッテ抽選 05年の高校生ドラフト以降、外れ1位を含めて競合抽選に15度参加し10勝5敗。この期間の抽選勝率6割6分7厘は2位楽天の5割(8勝8敗)を大きく上回る12球団トップだ。