いきなり40セーブ宣言! 中日が外れ1位で最速157キロ右腕のヤマハ・鈴木博志投手(20=磐田東)の指名権を獲得した。広陵・中村の抽選に外れたが、希望の剛腕をゲット。現在は先発だが抑えにも自信を示し、1年目から「40セーブ」と大目標を掲げた。中日は2位でも1位候補と評判が高かった青藍泰斗・石川翔投手(3年)の指名権を獲得。2位以下は高校生5人という「超未来型ドラフト」で、黄金時代への骨格作りに入る。

 1位指名は予想通り、中村だった。直前まで鈴木との二者択一だったが超高校級捕手を選択した。森監督が抽選に臨んだが、広島緒方監督に残り福をとられた。少し悔しそうな顔をした指揮官だったが、引きずってはいなかった。

 「二の矢」はヤマハ・鈴木だ。この157キロ右腕こそ、実は指揮官の1番の狙いだった。1位指名後「自分の中で決めていた選手を取れた」と自らの本命だったことをほのめかした。

 即戦力でありながら、年齢も若く将来性もスケール感もある。中田スカウト部長は「9回でも簡単に150キロを出す」とほれ込んだ。嬉しい誤算があった。最初の入札でも外れ1位入札でも、鈴木の名前を書いたのは中日だけだった。

 午後5時35分、浜松市。名前が読み上げられると、無数のフラッシュを浴びた鈴木は表情を引き締めた。

 「光栄です。地元浜松から1番近い球団で、すごく親近感があります。自分が入ることで、また投手王国と言ってもらえるように頑張りたいです」

 磐田東卒業時、山内克之監督(62)から色紙を受け取った。表は「挑戦」の文字。そして裏には「3年後はドラ1」-。色紙を部屋で眺めては意欲を燃やした。高校3年10月に右肘を手術。ヤマハ1年目はリハビリに費やした。ウエートレーニングに励み、体重は10キロ増の90キロに。高校で143キロだった最速は今ドラフト候補で最速ともいわれる157キロまで伸びた。逆境をバネにしてドラ1位候補にまで上り詰めた。

 「プロに行くからには即戦力。先発でも抑えでも大丈夫だけど、抑えは好きです。1年目から40セーブという大きな目標を立ててやっていきたい」

 ヤマハの本社は愛知に接する浜松市。中日には浜松出身で、13年ドラフト1位で入団した鈴木翔太がいる。1学年上で当時は静岡でズバ抜けた存在だった翔太について「身近な存在。仲良くしたいと思います」と楽しみにした。翔太以外にも柳、笠原、小笠原ら楽しみな素材がひしめく竜投に、破格のポテンシャルを秘めた剛腕が殴り込む。

 ◆鈴木博志(すずき・ひろし)1997年(平9)3月22日、静岡県掛川市生まれ。小3から野球を始める。磐田東では斎藤誠哉(ソフトバンク育成)の控え投手で、甲子園出場なし。今夏の都市対抗野球に新日鐵住金東海REXの補強選手で出場。侍ジャパン社会人代表で先日のアジア選手権(台湾)に選ばれ優勝に貢献した。右投げ右打ち。181センチ、95キロ。50メートル走6秒2。家族は両親と妹。血液型A。