恩師にアメリカでの活躍を誓った。メジャー移籍を目指し、ロッテから海外FA権を行使した涌井秀章投手(31)が26日、横浜市内のホテルで開かれた「小倉さんの育成功労賞 受賞を祝う会」に出席。横浜高校で師事した小倉清一郎氏(73=当時部長)のお祝いに駆け付け、ワールドシリーズでも優勝した高校の先輩、松坂大輔投手(37)に続く決意を宣言した。

 恩師を前にしての決意表明だった。涌井は、高校でバッテリーを組み、今は神奈川・白山高校で監督を務める村田浩明氏(31)と登壇。懐かしくも色あせない、高校時代の思い出を語り、さらに自身の未来を語った。

 「2回目のFAを宣言して、アメリカという舞台に行きたいと思っています。(渡辺)監督と小倉コーチの教えが世界でも通用するということを、松坂さんに続いて見せたいと思います」

 名門・横浜を支えた黄金コンビ「渡辺監督と小倉部長」の薫陶を受けた松坂先輩は、メジャー移籍1年目から15勝を挙げ、ワールドシリーズでも勝った。同じ恩師を持つ自分も負けない-。ストレートな言葉に、会場は激励の拍手に包まれた。

 卒業して10年を超え、いかに大切に育てられたのかが分かる。小倉氏との思い出も披露した。「毎日毎日、どこからともなくノックが飛んできました。陰でちょっと休んでいると、どこからともなく『秀章!』と呼ばれた思い出があります。当時は、いじめられてるのか、愛情なのか、分からなかったけど、今は愛情をもらっていたということが分かります」と感謝の気持ちを伝えた。プロ野球界でも屈指のスタミナは、高校3年間で鍛えられた土台の上にある。

 メジャー移籍について、表だった進展はない。涌井は「ものすごく時間はかかる」と話し、長期戦は覚悟の上。そんな教え子の決意に、小倉氏は「夢だからね。向こうに行って、やりたいというのは」と目を細めた。多くの選手を育ててきたが、投手で一番鍛えたのは松坂と涌井だったという。その2人が、ともにメジャーという道を進む。「(涌井は)オリオールズはじめ、3球団ぐらい投手が欲しいところに行けば、10勝ぐらいするんじゃないか」と太鼓判を押した。【古川真弥】