【ホノルル(米ハワイ州)13日(日本時間14日)=佐井陽介】東京五輪はオマエたちの大会だ! 阪神金本知憲監督(49)が名球会行事で滞在するハワイで、藤浪と大山に東京五輪の侍ジャパン入りを指令した。名球会チャリティーゴルフに参加後、テレビ番組の収録に臨み、20年五輪で期待する選手に2人の名前を挙げた。特に今季不振に苦しんだ藤浪に対しては、類いまれな潜在能力の開花を熱望した。

 金本監督は迷わずフリップに書き込むと、不敵にニヤリと笑った。名球会チャリティーゴルフを終えた直後、テレビ収録の座談会に参加。20年東京五輪で期待する選手を問われ、黒色のペンで藤浪、大山と力強く書き記した。今季絶不調で3勝にとどまった藤浪の状態を心配する声には「絶対大丈夫です!」とハワイの青空に宣言。大山についても「順調に成長している」と太鼓判を押した。

 広島時代の恩師である山本浩二名球会会長、野球評論家・古田敦也氏らから厳しいツッコミを受けながらも、虎の指揮官はブレなかった。「原石」という質問には才木、小野の2人をあげ、「案外、(東京五輪には)才木と小野が行くかもしれないよ」と推薦。それ以上に、誰よりも期待値が高かったのが藤浪だった。

 「それだけのモノを持っているんだから。(五輪行きを)願うところよ。やっと普通に(代表選手に)なったか、という感じで。それぐらいのレベルにあるとオレは思っているし、誰もが思っている。選ばれるぐらいの結果を…それぐらいできるでしょう! あのポテンシャルがあれば」

 藤浪は今季制球難に苦しみ、オフは体や技術など、あらゆる部門の専門家を訪ねる「全国行脚」を開始している。泥臭く這(は)い上がろうとする姿勢を、指揮官は把握している。「昨日も(本人から)連絡があった。必死にあっちこっち行っている。いろいろ自分に合うモノを探している」。東京五輪行きを勝ち取るためには来季から2年間活躍する必要があるが、その能力に対する信頼度はまだ高いままだ。

 もし2人が五輪期間中に離脱するとなれば、チームを預かる立場としては間違いなく痛い。「チームとしては出したくない」と苦笑いしつつも「そりゃあ出てほしいですよ!」と声を大にした。藤浪が「普通に」東京五輪で主戦を務め、大山も侍と化す-。虎の超変革にも欠かせない2人の進化を、指揮官は待ち望んでいた。