阪神のドラフト1位、馬場皐輔投手(22=仙台大)が、4日に死去した楽天星野仙一球団副会長に恩返しの活躍を誓った。7日、半旗が掲げられた鳴尾浜球場(兵庫県西宮市)で自主トレを行った。仙台育英3年時に楽天の初優勝に歓喜。「プレーでいろんな人を元気づけられるようにしたい」と突然の訃報に決意を新たにした。

 甲子園とともに鳴尾浜球場でも、半旗が掲げられた。その下で、ドラフト1位ルーキーが始動した。今日8日から始まる新人合同自主トレに備え、馬場がジャージー姿で登場。「軽め」というキャッチボールでは、球筋のいいボールを披露。相手役のドラフト5位谷川に「手が痛い。球が強いし、勉強になる」と言わしめた。その後はダッシュでも軽快な動きを見せた。「(プロの)野球生活が始まったと感じた。基礎から作っていきたい」と胸を躍らせた。

 胸には新たな決意を秘めていた。前日6日に入寮し、夜にはすき焼きを同僚と食べた。テレビをつければ、星野氏の訃報を伝えるニュースが流れていた。「楽天が優勝した時の監督。残念なことだし、悲しかった」。直接会ったことはないが、遠い人の話ではなかった。仙台育英3年の時に、楽天が球団創設以来、初のリーグ制覇、そして日本一を達成した。その瞬間はテレビの前で喜んだ。「地元に球団ができてから、見ていた。一市民として、うれしかった」。星野監督が胴上げされる光景があった。

 ドラフトで阪神に指名され、仙台から大阪へ。星野氏とは逆のルートだが、これも何か縁だ。猛虎の一員になり、思いも新たにした。「これからはプロの名前がつく。プレーでいろんな人に元気を与えられるようにしないといけない。自分ができることを全力でやりたい」。あの日、星野氏が勇気づけてくれたように、自らもそんな存在になりたい。立ち居振る舞いは初々しいが、発した言葉は強かった。【田口真一郎】