昨年11月に右肘のクリーニング手術を行った楽天茂木栄五郎内野手(23)が4日、沖縄・久米島で行われている2軍キャンプでティー打撃を行った。プロ入り3年目で初となる2軍スタートだが、焦らずマイペース調整を続けている。茂木は昨季、一時期出場していたDHではなく、あくまで遊撃での先発を熱望。手術した右肘と相談しながら、開幕1軍に照準を合わせる。

 悲壮感すら漂っていた。茂木は室内練習場で黙々とバットを振り抜いていた。打撃投手を付けることなく、ティー打撃で自分の感覚を確かめるように、1球1球を丁寧にさばいた。

 茂木 ティーは100%に近いような感じで振れている。前から来る球や速い球、強い球にどこまで自分の肘が耐えられるか分からない。そこは探り探りやりたい。

 昨年は遊撃手として2年連続で開幕戦に先発し、103試合に出場した。チームトップでリーグ3位の2割9分6厘、17本塁打をマークしたが、昨季途中離脱の原因となった右肘痛を解消するため、昨年11月にクリーニング手術に踏み切った。その影響で自身初の2軍キャンプスタートとなった。「思ったより順調に来ている。状態は40%ぐらい」と現状を説明した。

 快音を響かせた打撃に対し、投げる方はまだまだ。20メートル程度のショートスローを繰り返している状態だ。「もう少し時間がかかる。スローイングは課題が山積み。しっかりつぶしていきたい」。遊撃手にもこだわりがあり「ショートで試合に出ないと意味がないし、DHではもう出たくない。ショートで何とか出られるように」と意気込んだ。

 チームにとって5年ぶりの日本一奪還は「背番号5」の復調なくしては考えられない。茂木の頭の中にはしっかりと、3年連続での開幕戦先発の青写真が描かれていた。「開幕はもちろん出たいと思っている。ゆっくり自分の状態を上げながら技術を向上させたい。3月中旬には1軍に呼んでもらって、緊張感のある試合を経験してから公式戦に向かいたい」。開幕を逆算し、時間をかけながら右肘の調子を上げていく。焦りは禁物だ。【高橋洋平】