阪神ドラフト2位の高橋遥人投手(22=亜大)が、1軍初登板で2回無安打無失点の鮮烈デビューを決めた。ソフトバンク戦(ヤフオクドーム)に4回から2番手で登板。最速146キロの速球を主体に、中村晃ら昨季の日本一軍団を圧倒した。金本知憲監督(49)は左肩の状態を見ながらとしつつ、「使いたい」と開幕ローテ入りを期待。金本阪神に新星誕生の予感だ。

 高橋遥が日本一軍団相手に、鮮烈の1軍デビューを飾った。打者7人と対戦。最速146キロの力のある直球を主体に攻め、外野に1度も飛ばさせない。4回、立ち上がりから強烈だった。先頭九鬼を球威で圧倒し、完全に振り遅れの空振り三振を奪う。西田には自慢のスライダーで投ゴロに料理。5回は主力の中村晃を一ゴロに抑えるなど2回を無安打無失点にまとめた。

 高橋遥 自分のボールがどれだけ通用するのか楽しみだったので、その部分では少し通用したのかなと。うれしかったですし、もっと頑張ろうと思いました。

 ルーキーの快投を誰よりも喜んだのが金本監督だ。「良かったな、やっぱり。期待通りのボールで。今日一番、それが楽しみだったしね、俺も。ちょっとアレは…。なかなか狙っても真っすぐをジャストミートできないと思うよ」。2軍戦2試合で2回無失点の結果を残し、キャンプ終了後に1軍昇格。1月の新人合同自主トレでブルペン投球を見た金本監督に「アレ、打てないと思う」と言わしめた左腕が、期待に応えた。

 一躍、開幕ローテの有力候補に前進した。指揮官は「肩の状況ですよね、あとは。壊してはいけない。肩の状態が万全やったら、間違いなくローテに入れますよ」と明言。昨年12月の新人体力測定で、プロのレベルでは若干肩の筋力が弱いと指摘されたが、登板間隔を空けてでも先発起用したい考え。「使いたい、使いたい」とうなずくなど、あらためてホレ直したようだ。

 新旧指導者の言葉も力になった。2軍の高橋投手コーチと安藤育成コーチには「(球が)どこにいってもいいから、思いっきり投げろ」と声を掛けられ「それで楽になったことが大きかった」と明かす。1軍デビュー決定後、亜大の生田監督にも報告。「『ビビらず、思いっきり投げてこい』と言われて、できたんじゃないかな」とほほ笑んだ。

 金本監督は会見の最後も「今日は高橋です。スゴイと思わん? おいって思うで、初球。ズーンって」と絶賛。高橋遥は今日5日は2軍練習に参加するが、次回も1軍で3回程度を投げる見込み。肩の不安を一掃する投球を続ければ、超新星の誕生だ。【古財稜明】

<高橋遥人(たかはし・はると)アラカルト>

 ◆生まれ 1995年(平7)11月7日、静岡県生まれ。

 ◆中学 常葉学園橘中(静岡)で3年夏には全国制覇。

 ◆高校 常葉学園橘で2年夏に甲子園に出場し、1回戦の福井工大福井戦に救援登板も初戦敗退。

 ◆大学 亜大では先発や中継ぎで奮闘し、通算31試合で5勝7敗、防御率3.57。3年春に全日本大学選手権に出場しベスト8。

 ◆プロ 17年ドラフト2位で阪神に入団。

 ◆家族 両親、兄、弟2人と妹の7人家族。

 ◆趣味 ジブリ映画鑑賞。一番好きな映画は「千と千尋の神隠し」。

 ◆サイズ 180センチ、78キロ。左投げ左打ち。