ヤクルト石川雅規投手(38)が、自身の連敗を11で止めた。開幕2戦目のDeNA戦に先発し、6回2/3を6安打3失点。昨年5月18日巨人戦以来16試合ぶりの白星で、チームも6年ぶりの開幕2連勝。「喉から手が出るほど白星がほしかった。みんなで取った2連勝。最高のスタートです」と声を弾ませた。

 現役最多の157勝左腕も、昨年は地獄を見た。「もう勝てないんじゃないか」と自信を喪失し、物憂げな表情が無意識に増えた。妻のひと言に救われた。昨季終盤のある日、「家を出る時は元気よくいった方がいいよ。子供が暗い顔で学校に行くのは嫌でしょ」と言われ、ハッとした。身長167センチながら、明るく元気に取り組む姿勢と7球種を自在に操る投球術で生き抜いてきた。そんな信念を見失っていた。「気付いたらうつむいていましたね。だから家を出る時は元気に『行ってきます!』と言うことにしたんです」。

 今季初登板の朝、自宅の玄関で実行した。「行ってきます!」と声を張り上げた。「子どもたちはテレビを見てましたけどね」と苦笑いしたが、顔を上げ、笑顔で球場入り。堂々とマウンドに上がると、右打者の内角を強気に突きつつ、緩いシンカーやカーブで緩急をつけて仕留めた。石川の真骨頂がよみがえった。

 スタンドには妻と2人の息子がいた。日付と何勝目かを記した勝利球を手に写真を撮る石川家の勝利の儀式も、久々の復活となる。「一番のファンは家族。まだまだ頑張るぞって姿を見せたいと思っていた。ウイニングボールを増やしていきたいです」。頼れる大黒柱が、元気いっぱいに力強く、復活の第1歩を刻んだ。【浜本卓也】