巨人が足技で怪物を倒した。初回、先頭の立岡は出塁すると迷わずに狙った。「(クイックが)速かったら止めればいい」と続く打者吉川尚の初球でスタート。決して速くはない松坂のクイックモーション1秒31から、二盗を決めた。その後、吉川尚の中飛で三進し、1死一、三塁からゲレーロの左前打で先制のホームを踏んだ。

 走る意識が、息づき始めた。2安打で敗れた前日の6回にも坂本勇が単打で出塁し、二盗。マギーの右前打で1点を返した。立岡は「昨日も勇人さんが走ってヒット1本で点を取った。そういうことが自分はできる」と単打2本で得点につなげる自信があると胸を張り、この日は自己最多1試合3盗塁と実力を示した。

 ハイテク機器が走りを支える。今季、ワイヤレススピード計測システム「WITTY」を導入。スタートの反応速度や速度の数値がデータ化され、細かく分類される。キャンプ中から練習に使用し、今カード2戦目の試合前も野手が計測。フィジカル統括の久村育成担当は「長いシーズンを戦うと反応速度に違いが出る。疲れると脳からの指令が体に行く時間が遅くなり、コンディションの確認にも使える」と説明。走りの質を保つ準備がある。

 意識改革は中軸にも及ぶ。3回には岡本も3年ぶりの盗塁を記録。打線全体で松坂を引っかき回した。高橋監督は「行き着くところまではいいところがあった。隙を突くというのはまだまだできる」とうなずいた。これで2カード連続勝ち越し、1試合4盗塁は15年5月22日の中日戦以来。首位浮上へトップスピードに乗ってきた。【島根純】