巨人のエースに異変が起きた。菅野智之投手(28)が16年3月から8連勝中だったヤクルトに6回5失点と攻略された。初回から真綿で首を絞めつけられた。1死。奥村の一塁線へのボテボテのゴロがファウルに切れない。「ヒットはヒット。その後、粘れれば点にはつながらなかった」。昨季、得点圏被打率1割5分6厘のタフ右腕が踏ん張れず、不吉な前兆となった。

 バレンティンに宝刀スライダーが大きく外れ、直球がシュート回転して勝負を決められずに10球で四球。青木には一塁線を抜かれた。さらに春の強風にもてあそばれ、遊撃手坂本勇が飛球を捕れずに2失点。初回だけで37球を要した。打率1割台と不振な山田哲にも2回に適時三塁打、5回に甘いスライダーを左翼席へ1号ソロを運ばれた。「メチャクチャ悪いわけではないが、結果がほしい分、難しいところがある」と悩みをにじませた。

 プロワーストの12被安打で敗れた開幕戦阪神戦に続き2試合連続5失点KO。昨年は5~6月にかけて1度経験したが、開幕直後には誰も想定していなかった。高橋監督も「あんまりそういうふうに考えている投手じゃないからね。それなりに投げてくれると思っているから」と首をかしげた。

 修正は容易ではない。エースは「やりたいこと、やらなきゃいけないことを頭で分かっているけど、体が連動してくれない。劇的に1週間で変わらない」と苦悩する。だが戦いは待ってくれない。次戦は王者広島戦が予想される。「良くない投球を続けているが長い野球人生の糧となるよう、チームのために頑張る」。菅野の復調なしに優勝はあり得ない。【広重竜太郎】