球場を後にするオリックス宮内義彦球団オーナー(82)は上機嫌だった。「良かったですよ。褒めときます。ベリーグッド!」。開幕6カード目にして初の連勝、初のカード勝ち越しに笑いが止まらない。8日西武戦の惨敗を目の当たりにして「見るに堪えない」とバッサリ切った時とはまるで違った。

 総帥をえびす顔にしたのは、ドラフト1位、田嶋大樹投手(21)の快投だった。150キロに迫る直球に、スライダーとチェンジアップを低めに集める抜群の投球。得点圏に走者を置いたのは初回だけだった。7回2安打無失点。「四球を出さなかったのが一番良かった。周りも見えていたし、自分のテンポで投げられた」と、無四球で2勝目を挙げた。

 並のルーキーではない。初黒星を喫した7日西武戦の途中からすべてセットポジションに変更。左足でためを作るフォームに変えた。「2段(モーション)っぽくなってると思う。間が取りやすい」。気分を変えるためにグラブも黒色から青色にチェンジ。負の流れを自分で断ち切った。

 宮内オーナーが見守る御前試合で2連敗中だったが、これでようやく初白星だ。福良監督も「田嶋でしょう。素晴らしかったですね。まったく(打者が)合ってなかった」と孝行息子を絶賛した。開幕から沈滞ムードが漂っていた福良オリックスだが、これで6勝10敗と借金も4まで減った。【桝井聡】