夢の対決を前に、主砲のバットに快音が戻ってきた。DeNA筒香嘉智外野手(26)が、決勝打で連敗を4で食い止めた。1-1で迎えた終盤の8回、見せ場はやってきた。1死満塁で中日小笠原が1段ギアを上げたことは「分かりました」。初球145キロの直球。力勝負に受けて立ち、かわしてきた3球目のカーブは見逃した。「球はよく見えていたので」。5球目の高めの直球を捉えた。

 左中間フェンス直撃する走者一掃3点適時二塁打で、5試合ぶりの打点を挙げた。この回先頭の代打神里が左安打で出塁し、盗塁。桑原が死球を受け、大和がつないだ満塁の絶好機。6回まで1失点に抑えた先発石田の粘投があったからこそ、終盤まで接戦に持ち込めた。「みんなでいい流れをつくってくれた。全員でつくってくれた流れという意味で、打席ではやりやすかった」と、燃えないはずがなかった。

 9連戦初戦。世間はゴールデンウイークに入ったが、大型連休は野球漬けの記憶しかない。「小さいころから野球しかしていませんからね」。世間が連休のときは、ほとんどが遠征の日々。それでも「野球が好きなんで、野球ができて幸せでした」と素直に思えるから今がある。行楽シーズンは、プロ野球選手として見せどころでもある。

 今カード最大の見せ場は明日30日。横浜高の11年先輩にあたる中日松坂と直接対決だ。この日はあいさつはできなかったが「プロに入って対戦できるとは思っていなかったので、対戦できるのは非常に楽しみですし、うれしいこと」と心待ちにする。試合後は、試合を決めた打撃感覚をつかむため、チームバスに乗らず居残りでバットを振った。「9連戦初戦取れたことは本当に大きい」。上げ潮に乗って、大先輩にぶつかっていく。【栗田成芳】