5月音無しだった阪神ウィリン・ロサリオ内野手(29)が、3本の適時打、来日最多4打点で復活のノロシを上げた。5打数無安打の前日4日には金本知憲監督(50)から「メンタルが参っているね」と心配された主砲だが、一夜明けたこの日は大暴れ。「こどもの日」に甲子園につめかけた、かわいい虎ファンを大喜びさせた。

 暗闇に迷い込んだ闘牛が、光を求めて刃(やいば)をズサッと振り切った。ロサリオが先制打を含む3本のタイムリーを放ち、来日最多4打点の大暴れだ。

 「いつも結果が出るとは限らないが、毎日早く球場に来て練習している。(打撃)練習では『間』を意識してやっている。結果も出て、自分の待っていたところにボールが来た。今日はいい日になった」

 初回だった。3四球で無死満塁のおいしいチャンス。ロサリオが真ん中低め140キロ直球にかぶりついた。打球はしぶとく三遊間を抜いてレフト前へ転がった。2点先制の“ごちそうさま打”。4月30日広島戦(マツダスタジアム)の決勝2ラン以来、快音が途絶えていたが、14打席ぶりの5月初安打&初打点をマークした闘牛はニッコリ笑った。

 開幕から1カ月が過ぎたが、慣れない日本野球、さらに4番の重圧にも苦しんでいた。「とても責任のあるポジションだと思ってる。自分の全力を尽くすように心掛けているので、それを忘れずにこれからもやりたい」。ただ、そんなまじめな助っ人は行動派でもある。試合前練習では、気心の知れた高代作戦兼総合コーチと話し終えると、外野方向へ猛然と走りだした。金村投手コーチの捕手ミットを借りると、投球を座ってキャッチ。メジャーで捕手だったころを思い返した。原点に戻って配球の組み立てを考えると、答え合わせをするかのように山田バッテリーコーチの元へ。個別授業を申し込んだ。「珍しいよね。初めて自分から話してきたよ。最初は守備のことを聞いてきたけど、その延長でね…」と悩みを抱えた助っ人は、日本特有の配球についても質問攻めした。

 試合後は「日本の野球はすごくいろんな形、いろんな配球があるので難しい。最終的に一番大事なのは自分が自信を持ってプレーすること。今日はそれができた」と大満足な様子。金本監督は「当たりはそんなに良くなかったんですけど、タイムリーには変わりない。今日は4打点ですかね。精神的に楽になってほしいですね」とエール。前日4日の5打席凡退後は「メンタルが参っている」と指揮官に心配されていたが、復調の兆しを見せた。ロサリオの快音が、虎に光をもたらしていく。【真柴健】