今季初スタメンでどっしりと構えた。6回1死、巨人阿部慎之助内野手(39)はDeNA京山の球筋をジッと見た。カウント3-1からの5球目。外角の141キロ直球を一振りで仕留めた。追い風にも乗った打球は、右翼スタンド中段へと飛び込む。1号ソロに「久しぶりにいい角度で上がってくれました」とコメント。連戦の最終日、試合前まで4試合連続無安打中だったマギーに代わり「4番一塁」で結果を示した。

 打席での重みを両腕に感じる。プロ18年目。故障以外で初めて開幕スタメンを外れ、代打の切り札として備える日々。勝敗に直結する場面での起用が増えた。これまでと違う重圧に「そりゃあ、重いよ。重い」と話す。バットは見た目以上にズシリと感じるようになった。

 だからこそ第1打席からデータを蓄積した。今季14試合目で初めて「4番一塁」で先発出場。2回、4回ともにボールを見極め、初対戦の相手にフルカウントまで投げさせた。京山からの1発は223人目の投手となり、清原、山崎に並び歴代3位タイ。1位ローズの228人に迫る。高橋監督は「1試合打席がこうやってあると、きっちりその中で合わせるのは大したもの」と変わらない対応力にうなずいた。

 好調が続けば、マギーとの併用オプションも増えてくる。久しぶりのスタメンを終えて「つかれた。勝てればな…」とつぶやき、球場を後にした。試合に敗れて空砲となるも、389本塁打で節目の400号まであと11本。現役最多の大砲が、打線の重厚感をさらに際立たせる。【島根純】