入団11年目の日本ハム中田翔内野手(29)が、プロ野球史上291人目となる通算1000安打を達成した。残り3本として臨んだオリックス戦(京セラドーム大阪)の6回、3打席連続安打となる左前打を放って節目に到達した。猛打賞は今季2度目で、自らの記録達成に花を添えた。

 記録達成にも中田にとっては1つの通過点でしかなかった。プロ入りからの安打数を「999」として迎えた6回の第4打席。1ボールからオリックス小林の2球目を振り抜くと、打球は左翼手の手前で弾んだ。「打ってから気づいた」と言うほど、節目の記録も一塁ベース上で初めて気づいた。「まだまだ。もっと上に上がっていかないと行けないと思う」と、向上心をのぞかせた。

 3回の第2打席で左越え二塁打、5回の第3打席で中前安打を放ち、王手をかけた。本当はホームランで達成したかったかという問いにも「そんなに考えてないよ」と打席で集中して一気に決めた。大阪への移動日だった2日前の新千歳空港で「たかが1000本」と、記録にも無関心だった主砲は、言葉の通り、無心で節目を迎えた。

 同じ日にかつての戦友も金字塔を打ち立てた。13年、17年とWBCで同じ日の丸を背負って戦ったソフトバンク内川だ。内川はこの日の西武戦で史上51人目の通算2000安打を達成。「(内川の記録ついて)ほんとに果てしない本数だと思う。WBCの時も声をかけてもらったり、よくしてもらった。同じ日に打ててほんとにうれしい」と、“同日達成”を喜んだ。

 08年に大阪桐蔭から鳴り物入りで入団。プロ初ヒットは09年5月23日。本拠地札幌ドームでのヤクルト戦だった。プロ入りから11年目。キャプテンとして迎えた今シーズン。例年以上に主将として背中でチームを引っ張っていくという覚悟が見える。この日ゴールデンルーキー清宮がプロ第1号を放ち、「(新聞の)1面はとられたな」と中田らしさも見せた。「ここまで支えてくれた方々に感謝したい。これからがスタート。1本1本大事なヒットを積み重ねていきたい」。大将の放つ1本のヒットがチームを勝利に導く。【山崎純一】