投手版バティスタじゃ。広島緒方孝市監督(49)が17日にナゴヤ球場でウエスタン・リーグ中日戦を視察することが14日、分かった。目的は当日先発予定の育成左腕、ヘロニモ・フランスア投手(24)だ。2軍で急成長を示し、手薄な左腕の救世主となり得る存在と期待。今日15日から1軍と2軍が同じ名古屋で試合を行うメリットを最大限生かし、戦力発掘に力を入れる。
リーグ最速で貯金を10に増やしても戦力強化に余念がない。今日15日からナゴヤドームで中日3連戦に臨む緒方監督は、同じ名古屋でウエスタン・リーグを戦う2軍の視察について問われると、不敵な笑みを浮かべた。「君らの思惑とは違うピッチャーを見に行く」。2軍は今日から1軍経験のある高橋昂、薮田が先発。指揮官の狙いは17日の先発、育成選手のフランスアだ。
緒方監督が2軍の試合を視察することは珍しいことではない。毎年1度は視察する。ただ、育成選手を目的とした視察は異例とも言える。フランスアはバティスタやメヒアと同じドミニカカープアカデミー出身の24歳左腕。今年は1軍の春季キャンプにも同行した。150キロ超の真っすぐとチェンジアップを軸にした投球で2軍打者を圧倒。7試合に登板して2勝0敗と負け知らずで、防御率は1・50と安定している。投球回の30イニングを上回る35三振を奪い、課題だった制球面も18四球と良化しつつある。
首位快走も、指揮官は手綱を緩めるつもりはない。むしろ、29日から始まる交流戦に向けてムチの打ち時と考える。投手陣は先発にも中継ぎにも一抹の不安を残す。
好調の打線においても、離脱中の丸に早期復帰指令を出したほど。投手陣強化に狙いを定めたのは、「投手版バティスタ」へと大化けするポテンシャルを秘めた左腕だった。
同郷のバティスタは昨年6月に育成契約から支配下選手登録を勝ち取り、デビューした交流戦で一気にブレークした。データの少ないパ・リーグ相手に未知の戦力は切り札となり得る。外国人枠争いもあるが、広島は慢性的な左腕不足にある。充実した野手陣を考えれば、今後どこかで外国人枠を投手3、野手1とする可能性もゼロではない。まずは、ベールに包まれた左腕が、御前試合でどれだけの可能性を示すことができるか。結果次第では支配下選手登録、そして1軍マウンドへと駆け上がる可能性も十分にある。【前原淳】
◆ヘロニモ・フランスア 1993年9月25日、ドミニカ共和国生まれ。カープアカデミー出身で16年に来日し、四国IL・高知に派遣された。今年は1軍春季キャンプに同行し、3月7日には育成選手として契約を締結。ここまで2軍で7試合に登板し、2勝0敗、防御率1・50。186センチ、110キロ。左投げ左打ち。