アクシデントの先に、DeNAの真の姿があった。

 4回先頭のロペスが、左翼線への安打で出塁。しかし、走塁の際に右太もも裏を痛めたそぶりを見せた。1度はトレーナーに「大丈夫」と告げたが、ラミレス監督が一塁まで歩み、問いただすと「OK」という言葉とは裏腹に渋い表情。同監督は「彼の性格だと多少無理してでもやる。彼を見て決めた」。だが、本塁打15本、41打点でセ・リーグ2冠の大黒柱が負傷交代しても勢いは衰えなかった。

 続く4番筒香が右翼前へ連打。さらに、宮崎が勝ち越しの右翼越え適時二塁打を放ち、主導権を渡さなかった。試合前ミーティングで、同監督がコーチ陣に伝えていたことがある。「普段、対戦していない投手だが気にせずいこう。ストライクを見逃さず振っていくんだ。相手がどんなボールを使ってくるか自己紹介される前に、自分自身を紹介しよう。『私はこういう人間なんだ』と見せることが大事なんだ」。DeNAの等身大の姿で戦った。

 8回に打線が爆発し、7点差の大勝で楽天を退け2位浮上。3年連続交流戦白星発進の同監督は「『DeNAというのはこういうチームです』と自己紹介できたと思う」。セ・リーグ唯一の白星にニヤリと笑った。【栗田成芳】