いざ決戦-。全日本大学野球選手権が11日から神宮と東京ドームで開幕し、11日に東北勢3チームが初戦を迎える。

 9連覇を達成した富士大(岩手・北東北)はエース右腕の村上英(4年=宇都宮南)が4勝をマーク。東北福祉大(仙台6大学)は1年生右腕の椋木蓮(高川学園)が抑えを務める。東日本国際大(福島・南東北)の2年生4番斎田海斗外野手(仙台育英)が今春は打点と本塁打の2冠王となった。3チームの主力選手を特集する。

 長打力を開花させた斎田が全国でも打ちまくる。今春は打点(11)と本塁打(3)で2冠を獲得。持ち前のミート力で安打を量産し、34打数13安打、打率3割8分2厘と首位打者も射程、3冠に迫る勢いだった。それでも「自分の記録には正直興味がない。チームの勝利が一番大切」と浮足立つことなく、冷静に全国大会を見据える。

 不振の苦しみが成長の糧となった。昨秋は通算打率1割3厘と低迷し、本塁打も0。「大学に入り、金属バットから木製バットに変わると、打球が伸びなくて安打が打てなくなった」。そんな時、仙台育英時代の佐々木順一朗前監督(58)から受けた「長所を伸ばせ」という言葉を思い出した。決勝進出を果たした15年夏の甲子園はベンチ入りを逃したが、2年春のセンバツに外野手として出場した自信を取り戻したかった。

 180センチ、64キロの細身の体に限界を感じていた斎田は下半身を中心にウエートトレーニングを重ね、6キロ増に成功。効果は絶大だった。「腰を回しながら下半身との連動で打てるようになった。昨秋の感覚とは全然違い、打球がひと伸びするようになった」。3月に山崎照太主将(4年=弘前学院聖愛)が右足のけがで一時離脱したことで任された4番の座だったが、仁藤雅之監督(38)からは「初めての4番にしては合格」と及第点をもらった。努力を重ね生まれ変わった主砲は「夢はプロ入り。そのために、まずは全国で活躍したい」と力強く誓った。【神稔典】

 ◆斎田海斗(さいだ・かいと)1999年(平11)1月19日、福島・西郷村生まれ。熊倉小4年から野球を始めた。西郷一中から仙台育英に進学し、2年春のセンバツに出場。180センチ、70キロ。右投げ左打ち。家族は母、弟、祖母。