東北福祉大(仙台6大学)が白鴎大(関甲新学生)を延長10回タイブレーク(無死一、二塁開始)の末に2-1で振り切って、優勝した04年以来14年ぶりの準決勝に進出した。1番吉田隼(はやと)外野手(4年=国士舘)が独特の「四股踏み打法」で力を発揮。初回に初球先頭打者本塁打を放ち、10回無死満塁ではサヨナラ中犠飛で試合を決めた。明日16日の準決勝は、東日本国際大(福島・南東北)を10-2の8回コールドで下した慶大(東京6大学)と激突する。

 獲物にかぶりつくように、吉田はバットを振った。10回裏無死満塁。打席内で四股踏みを繰り返して重心を落とし、左足を大きく上げて力をためた。真ん中低めに入ってきた3球目の116キロスライダーをフルスイング。中堅に飛球が上がった瞬間、福祉大ナインはベンチから一気に飛び出し、喜びを爆発させた。

 吉田 気持ちで打った。食らい付く気持ちだけだった。苦しかったけど、勝ててうれしい。

 攻守で流れを呼び込んだ。1回表2死二塁では、中堅からの好返球で本塁タッチアウト。直後の1回裏は初球の143キロ直球を振り抜き、神宮の左翼席に先頭打者本塁打を突き刺した。先発右腕の津森宥紀(3年=和歌山東)が1点リードの9回2死一、二塁から二塁けん制悪送球で同点に追い付かれても、「津森1人を頑張らせていた。何とか助けたかった」と最後まで気持ちを切らさなかった。

 171センチ、72キロの体を大きく躍動させる「四股踏み打法」が持ち味だ。小学校の頃から相撲好きで、打席内で四股を踏むのが今でも続くルーティンとなった。「自分は体が小さい。野球を始めた時、相撲も遊びでやっていた。(四股を踏むことで)下(半身)が使える」。高校から長打力を伸ばすために、左足を大きく上げるようになった。「自分の打ち方は人と違う。それでずっとやってきた。変えたくない」。今では完成した打法に自信を見せる。

 幼少期は元大関の千代大海(42)に憧れていた。「突っ張り1本で大関にまでなった。その1本でやり抜くのが男の生きざま」。吉田も2年秋のリーグデビュー戦で先頭打者本塁打を放ってからは、「1番打者1本」でチームをけん引してきた。優勝まであと2勝と迫り「去年の秋に負けた時から、日本一を目指してやってきた。チームを勢いづけられるように」と意気込む。「突っ張り切り込み隊長」が暴れまくって、“賜杯”を狙う。【高橋洋平】