優勝へ向け、BOOM! 西武が3ラン2発で打ち勝った。1-4の2回、中村剛也内野手(34)の14号3ランで追い付くと、5回に外崎修汰内野手(25)が決勝の14号3ラン。観戦に訪れた、球団OBで3年連続本塁打王のオレステス・デストラーデ氏(56)も喜ばす1発攻勢だった。2位日本ハムとの直接対決3連戦を勝ち越し。3連敗なら首位陥落だったが、ゲーム差を再び3・5に広げた。

 洞察で勝り、パワーでも勝った。1-4の2回裏無死一、二塁。中村は真ん中に入った初球143キロを捉えた。左中間席へ放り込む同点3ラン。前打者の外崎は四球だった。「(日本ハム高梨が)コントロールで苦しんでいた。甘いところを待って打つことができた」。四球後の初球。攻撃の鉄則を踏んだ。回の表に失策も絡み、4失点で逆転されていた。辻監督は「またいける気持ちにさせてくれた。勇気の出るホームランだった」と、最大級の賛辞を贈った。

 勝ち越し弾の外崎も同じだ。5回2死一塁から森が歩いた後の初球、フォークが甘く来た。「四球の後の初球を意識してました。積極的に振っていけました」と、左越えに放り込んだ。相手投手の状態を見定め、仕留める。観戦に訪れたデストラーデ氏をほうふつとさせた。

 来日2年目、巨人と戦った90年の日本シリーズ第1戦。1回表の西武の攻撃だった。2死三塁から4番清原が4球続けてボールを選び出塁。続くデストラーデはカウント3-0から振った。制球が定まらない槙原の心理を見透かしたように放った先制3ラン。これが、シリーズの流れを決めた。4連勝で日本一に駆け上がった。西武には、積極性のDNAが息づいている。

 デストラーデ氏は試合前、グラウンドで山川ら若手とも言葉を交わした。「アドバイスとしては、我慢するということだね。野球はミスをしても、またチャンスはある」と優しい目で言った。中村しかり。春先は絶不調で故障も味わったが、7月以降は11本塁打。90年当時は7歳だった。デストラーデ氏の記憶を問われ「僕、大阪出身なんで。でも、ホームランの後のガッツポーズは格好良いと思ってました」と笑った。D砲の「BOOM!」は不滅。辻監督も「オーレが来て、盛り上げてくれて、こういう形で勝てて良かった」。新・黄金時代の幕開けなるか。優勝へ突き進む。【古川真弥】