阪神ウィリン・ロサリオ内野手(29)がでっかいアーチをかけた。7日の巨人戦(東京ドーム)の1回1死満塁で、バックスクリーン左へ8号グランドスラム。チームを3連勝に導いた。ロサリオが本塁打を打った試合は、これで6連勝。順位は4位で変わりないものの、2位巨人との差を1・5ゲームに詰めた。

 ロサリオがひと振りで東京ドームを震え上がらせた。「プレッシャーのかかる場面だったけど自分のできる最大限のコンタクトをしようと思った。最高の結果になってくれて良かったよ」。初回1死満塁。巨人内海の136キロ直球を捉えると、グーンと伸びた打球はバックスクリーン左に飛び込んだ。先制8号満塁弾。走りだしたロサリオは、右拳を突き上げてほえた。

 「いつもチームのためにと思って。グランドスラムも出て、チームも勝ったので、ほんとによかった」

 鬱憤(うっぷん)を晴らしてみせた。極度の打撃不振で6月に2軍落ち。周囲の期待を裏切った。金本監督からリラックスの意味も込めて、3日間の“打撃練習禁止令”が出された。だが、野球のことが頭から離れなかった。鳴尾浜でバットを持つことはなかったが、打撃手袋をはめて歩いた。打ちたい-。帰路につく際、1本のバットをタクシーに持ち込んだ。帰宅後は、データ収集係の兄モイセス・ファビアン氏と神戸の自宅で徹底的に動画をチェック。何度も映像を見て「停止」と「再生」のボタンを繰り返して押す。映った自分のスイングは体重が後ろに残っており、本来のミートポイントがブレていた。自宅リビングの家具を押しのけ思わず“おきて破り”の素振りも行った。翌日、スイング動画をチームスタッフに見せる“お調子者ぶり”はご愛敬だ。

 前で捉えるため、フォローを大きく意識。3日から試合前練習で行っている「ノック打ち」の成果も出てきた。金本監督は「ノック(練習)からじゃないかな。片岡(コーチ)があれをやらせて、感触をつかんだんじゃないか」とニンマリ。この日は思い描いた軌道通りにバットが出た。これでロサリオが本塁打を打つと6連勝。“ロサリオ神話”もできつつある。3位ヤクルトとはゲーム差なし、2位巨人とは1・5ゲーム差に詰めた。さらなる浮上のためにはR砲のアーチ量産が欠かせない。【真柴健】

 ▼ロサリオが満塁本塁打。今季チーム2本目で、糸井が6月2日西武戦(メットライフドーム)で打って以来。巨人戦では、関本賢太郎が14年7月13日(東京ドーム)で放って以来、4年ぶり。外国人はに限ると、マートンが10年6月22日広島戦(米子)で記録して以来、8年ぶり。