ヤクルト山田哲が自身5本目のグランドスラムで「30本塁打」にリーチをかけた。2回1死満塁、広島岡田の内角低め150キロを引っ張った。打球は右翼方向への強風をものともせず、逆風の中、ライナーで左翼席へ。「打った瞬間、いったと思った。うまく回転で打てた」と自画自賛した。

試合前から1発を“予告”していた。台風の影響で球場上空は強い風が吹き荒れ、打撃練習の飛球は失速。飛球は避けてゴロ安打を狙うのが得策に思えた。

山田哲の思考は違った。「風は気にしません。かち上げますよ」と断言。「風が強いからゴロを打とうとか僕は考えない。いつも通りに打つ。天候とかで打席での考え方を変えると形が崩れてしまいますから」。取り組んできた右足に体重を乗せて軸回転で振り抜くスタイルを貫いたからこそ、生まれた1発だった。

2安打5打点も、チームは逆転サヨナラ負け。3シーズンぶりのマツダスタジアムでのカード勝ち越しも、勝率5割復帰も幻となった。「残念でしたね。勝ちたかった、今日は」。それでもトリプルスリー達成条件の1つの30本塁打に“王手”をかけた事実は揺るがない。「チームのためにも、自分のためにも、早く打ちたい気持ちはあるけど、大振りにならないように。コンパクトに打っても軌道が良ければ本塁打になる」。流されることなく、3度目の偉業達成に突き進む。【浜本卓也】