4月に発足した北海道ガス(北ガス)が初の公式戦に臨み、5-4で小樽野球協会を下し、初陣1勝を挙げた。0-3から6回に逆転し、4-4に追い付かれた8回表1死三塁から8番紀国駿介(21=北見工)が決勝の左犠飛を放った。2番手で登板したエース清水洋二郎(23=慶大)も5回1安打1失点と好投、攻守がかみ合っての初白星となった。今季の最大目標、日本選手権道予選(9月21~23日、札幌円山)へ、弾みをつけた。

新卒、既存社員選手の力を融合し、北ガスらしく1勝を挙げた。4-4の8回、先頭の6番大友祥之(22=立正大)が左中間への二塁打で出塁。7番堀田将人(18=滝川西)の送りバントで1死三塁にすると、8番紀国の打球は左翼にふわりと上がった。大友は「浅いフライでしたが、直前に、三塁コーチスボックスの監督から、いくよと言われていたので」と、迷わず本塁に突入。豪快なヘッドスライディングで、勝ち越しの生還を果たした。

大友、堀田ら11人は、部創設のために集められた新卒の精鋭部隊。紀国は入社3年目の既存社員で、社内で募集されたメンバーだった。実績や技術面で新卒組に引け目があったが「最初は他の選手に引っ張られているような立場だったが、チームの力になれて良かった。打球は浅かったですが、大友さんがいいスタートをきってくれたおかげです」と感謝した。

6月から練習試合を重ね、着実にまとまりができてきた。発足当初、大卒1年目の選手は、社歴で先輩にあたる年下の選手に敬語を使っていた。既存選手も、新卒組より年下の選手は敬語を使っており、微妙な、ねじれ現象が起きていた。実戦を始めた6月にチーム内で話し合い、野球部では年齢を基準にする方針を決定。大友は「ぎこちなさがなくなり互いに言い合える雰囲気ができてきた」と効果を口にした。

力試しのため16日に予定していた強豪ホンダとの練習試合が雨で中止になっており、この日は待ち望んだ社員約100人が応援にかけつけていた。「勝つというのは大事。継続して期待してもらえるようにもっと頑張らないと」と小島啓民監督(54)。歴史的1勝でつかんだ勢いを、次の公式戦となる日本選手権道予選につなげる。【永野高輔】