阪神のCS甲子園開催がピンチに陥った。ヤクルトに手痛い連敗を喫し、2位とのゲーム差は今季最大の4・5に拡大。一気に差を詰めたい直接対決で逆に突き放され、厳しい状況に追い込まれた。1番に今季初めて板山祐太郎外野手(24)を置くなど、109試合で85通り目のオーダーを組み、中軸が7安打して好機を作ったがあと1本が出ず。金本知憲監督(50)は「私のミスです」と厳しい表情で現実を受け止めた。

金本監督は会見場の椅子に座ると、殺気だった感情をグッと押し殺すように床を見つめた。「1番二塁」に糸原を使わず板山を抜てきし、その板山が4打数無安打で途中交代。1、2番が機能せず、クリーンアップ3人で計7安打を放ちながら競り負けた。9回裏、最後は2死二、三塁の同点チャンスも逃した直後、指揮官の口からこぼれ落ちたのは自戒の言葉だった。

「(糸原が)あまりにもちょっと振れていないし、休養という意味もあったんですけど。機能しなかったんで、そこは私のミスですよ」

必勝を義務づけられた一戦だった。大黒柱メッセンジャーに対し、ヤクルト先発は古野。17年から今季7月まで育成選手だった右腕を、5回まで2得点と打ち崩せなかった。4点を先制された直後の2回裏には連打で無死一、二塁を作ったが、ヤクルト野手陣の好守に阻まれ、ライナーが正面を突く不運もあって3者連続凡退。勢いをそがれた後は何度も好機をつくりながら、10残塁で4回の2得点どまりに終わった。

試合前の時点で先発古野は防御率9・00。2番手中沢は防御率6・95、3番手梅野は11・57。この3人から2点しか奪えず、古野には3年ぶりの白星まで献上してしまったのだから、やるせない。1番に板山を配置したスタメンは今季109試合目で85通り目だった。この日も考え抜いたオーダーは計6イニングも得点圏に走者を進めながら、11安打2得点とかみ合わず。指揮官は「得点圏、チャンスでの打撃ですね」と静かに振り返った。

1カ月ぶりに帰ってきた甲子園でいきなり2連敗。これで聖地では今季16勝27敗1分けとなった。ヤクルトが座る2位に今季最大の4・5ゲーム差をつけられ、いよいよ本拠地CS開催が遠ざかり始めた。甲子園の重圧-。信じたくない現実に、指揮官は強い口調であらがった。「それは分からないけど。誰だって勝ちたいと思っているし、打ちたいと思っている」。4カード連続負け越しで今季ワーストタイの借金8。もう、負のデータに反応している時間もない。【佐井陽介】