広島新井貴浩内野手(41)の今季限りの現役引退を5日、多くの球界関係者が惜しんだ。広島での現役時から親交が深く、師弟関係を結ぶ阪神金本知憲監督(50)は広島19回戦(マツダスタジアム)の試合前練習前、報道陣に対応し「彼の明るさ、キャラクターがいまのカープの強さの根底」とたたえた。

阪神金本監督は、この日の朝、携帯電話が鳴り、現役引退の正式報告を受けた。広島で4年、同僚としてプレー。鉄人金本が阪神に移籍すると新井も後を追うように08年に阪神へFA移籍。5シーズンをともに奮闘した。新井のすごみに触れたのは敵将として接した3年間だった。

「敵として、嫌なバッター。カープに戻ってから、すごくいい場面で打つようになって腹が立つ思いもしました。野球に対する姿勢というか、常にベンチで若い選手がやりやすい雰囲気を作ったり、勝った時の喜び方、全力プレーや全力疾走をこの年になっても続けていた。残した数字以上にそういう姿勢がいまのカープを強くしたんじゃないかなと。そういう貢献度は本当、大いにあると思う」

「本当に弟みたいな存在」と言い、続けた。「心の中では、よく頑張っているなとずっと思っていた。本当に彼の明るさ、キャラクターが、いまのカープの強さの根底にあると思っています。もう少し、プレーヤーとしてできる体力は、まだあると思う。ちょっと、もったいないなというのが本音ですね」。“いじり”のないねぎらいに、本心がにじんだ。【酒井俊作】