敵地マツダスタジアムで虎が猛打祭りだ。広島20回戦で今季最多20安打の13得点。5回に6連打を浴びせるなど5試合連続2桁安打をマーク。マツダスタジアムでの2試合連続2桁得点は球団初の猛攻だ。苦杯をなめ続けてきた同球場でのカード勝ち越しも2年ぶり。明日8日から甲子園で迎え撃つ3位巨人とは、これで1ゲーム差だ。

真っ赤に染まるマツダスタジアムが静まり返った。敵地は若虎たちの独壇場だった。やりたい放題に暴れ回る。一塁側ベンチで腕組みする敵将の緒方監督も渋い表情で動かない。スコアボードはせわしなく阪神の得点が刻まれていく。20安打13得点の爆発ぶりで、左うちわの大勝劇を演じた。

三塁側ベンチ裏。金本監督はえびす顔で「よくつながりましたね。(交代した糸井)嘉男が途中、心配やったけど。その後、陽川、大山、俊介も。いつも、これくらい気持ちよく打って欲しいけどね」と振り返った。広島で16年4月以来、2年ぶりのカード勝ち越しだ。しかも2試合連続2桁得点は09年に開場して10年目で初めての“快挙”だ。

不安定な先発岡田を沈めたのは5回だ。先頭糸原が二塁内野安打で出塁。1死後、福留が中前に運ぶと、打線に火が付いた。糸井が右前へ適時打を放つと、陽川も続く。1死一、三塁でスライダーを力まずにとらえて、中前に加点タイムリー。「追い込まれてしまいましたがコンパクトに打ち返すことができました」と声がはずむ。大山も勢いに乗じる。一、二塁で速球を豪快に仕留め、左中間フェンス直撃の適時二塁打。「いい流れのなかで自分のスイングで打てた」。一挙6連打などで5点を奪った。

今季は開幕から貧打で苦しんだが、確実に潮目は変わっている。壁にぶち当たっていた若手が目覚めつつあり、5試合連続2桁安打は16年以来、2年ぶり。9月に限れば4勝1敗で“単独首位”に浮上。月間打率3割4分7厘と猛攻を重ねる。●○○で会心のカード勝ち越しだ。広島での3連戦前、金本監督は「どの球団もあそこでほぼ負け越しているけど何とかうちは、と思っている」と闘志メラメラ。青写真通りだった。

多くのナインが「マツダは完全アウェーになる」と話すほど、重圧のかかるフィールドで躍動。強いカープをたたきのめした。2位ヤクルトと3ゲーム差、3位巨人と1ゲーム差に迫った。4年ぶりの20安打到達で、当初、今日7日に練習予定だった野手陣は急きょご褒美の休日に変わった。金本監督は「自信にしてほしい。個人個人の自信がチームの自信になると思うから」と話す。明日8日からはライバル巨人と2連戦。英気を養い、逆転でのクライマックスシリーズ進出に向かう。【酒井俊作】

▼阪神がマツダスタジアムでの広島戦で同一カード3連戦に勝ち越したのは16年4月22~24日○●○以来、2年ぶり。また、同球場で2試合連続2桁得点は初となった。

▼阪神の5試合連続2桁安打は、16年5月20日広島戦~25日ヤクルト戦5試合連続以来。また1試合20安打は今季初で、14年8月5日ヤクルト戦23安打以来、4年ぶり。