広島野村祐輔投手(29)が1カ月ぶりの白星を手にした。DeNA相手に6回4安打無失点で7勝目。4月以来の中5日登板ながら、三塁を踏ませなかった。開幕投手の復調は、リーグ3連覇の先にあるクライマックスシリーズ(CS)に向けても明るい材料だ。優勝マジックは1つ減って「6」に。最短Vはホームで9連戦が始まる20日となり、1991年(平3)以来の本拠地胴上げが有力になった。

野村は6回をわずか7球で片付けた。ベンチに戻ると近寄ってきた緒方監督から握手でねぎらわれた。ともに満面の笑み。7回以降は救援陣に託し、8月10日の巨人戦以来5試合ぶりの勝利を挙げた。4月以来の中5日登板で、応えようと気持ちがより入っていた。

「中5日と(間隔を)縮めて投げさせてもらってうれしく思う。なかなか勝ちに貢献できていなかったので。走者が出ても粘り強く投げられた」

持ち味であるストライク、ボールを絶妙に出し入れし、テンポよくアウトを重ねた。追加点をもらった直後の4回は「より慎重になった」。1死一、二塁から細川を内角スライダーで空振り三振。伊藤も左飛に打ち取った。この回だけで34球を要したが、ゼロで封じて流れを渡さなかった。

一転して5、6回は大胆に攻め、すべて内野ゴロの理想的な投球。緒方監督は「前回状態が良さそうだったし、中5日で行けと言った。しっかり抑えてくれたし、内容も良かった。内、外(の両コーナー)を使った投球ができていた」と開口一番にたたえた。

4月下旬に6点近くもあった防御率は、ついに4点を下回ってきた。前回7日の中日戦で7回2失点の好投。「力まず良いフォームで投げられているし、良くなってきたという感覚もあった」と手ごたえを感じていた。先発で安定しているのは大瀬良とジョンソンの2人。九里、岡田が続く。そこに野村が加われば、ポストシーズンに向けても好材料と言える。

マジック対象のヤクルトが勝ったため、最短優勝は1日延びて20日に。その日からマツダスタジアム9連戦があり、過去2年はできなかった試合開催日の本拠地胴上げが有力な状況となった。緒方監督も「広島の人もそれを望んでいるだろう」と力強くうなずいた。旧市民球場だった91年以来の歓喜へ、いよいよカウントダウンも最終段階に入った。【大池和幸】